では次に、社会保障制度の4つの柱について下記で説明していきます。4つの制度が合わさって社会保障制度は出来ています。
社会保障制度は「社会保険・社会福祉・公的扶助・公衆衛生」の4つの制度で構成されています。これらは社会保障制度の4つの柱ともよばれています。
そのなかでも代表的な制度は「社会保険」です。
社会保険にはみなさんが加入している医療保険や年金などが含まれています。
※社会保障の財源には、国民が支払う保険料のほかにも税金も使われています。くわしくはこちらの記事で社会保障費の財源内訳を説明しています。
ほかにも社会福祉の中の「児童福祉」には子どもがいる家庭にお金を支給してくれる「児童手当」といった制度などがあります。
社会保険は、❶医療保険、❷公的年金、❸介護保険、❹雇用保険、❺労災保険の5つの保険で出来ています。
すべてのひとはこれら5つの保険のどれかに必ず関わることになります。
※たとえば病院で料金が3割負担になるのは医療保険のおかげです。また、20歳になればすべての国民が公的年金に関わることになります。
①医療保険とは
病気・ケガにそなえる。すべての方が加入することになる。
※生活保護を受けている方は除きます。
※医療保険とは健康保険や国保などのことをいいます。
※医療保険については医療保険とは?を参照。
②公的年金とは
年をとったときや障害を負ったときなどに年金を給付する。20歳以上60歳未満のひとが加入する。
公的年金とは国民年金や厚生年金のことをいいます。
公的年金については年金制度とは?を参照。
③労災保険とは
仕事上の病気・ケガにそなえる。会社員やアルバイトなど雇われて働くひとが加入する。
労災保険については労災保険とは?を参照。
④雇用保険とは
失業などにそなえる。雇われて働くひとが加入する。
雇用保険については雇用保険とは?を参照。
⑤介護保険とは
介護が必要になったときにそなえる。40歳以上のひとは全員加入する。
介護保険については介護保険とは?を参照。
社会保険はわたしたちの暮らしに密接に関わっているので、今のうちに社会保険についてザッと把握しておくことをオススメします。
社会保険についてくわしくは社会保険とはを参照。
社会保障制度の基本的な考え方とセーフティネットの意味について説明します。
自分の生活は自分で支え、自分の健康は自分で維持するということが基本です。
しかし、それだけでは対処しきれないリスク(病気や障害など)が存在します。
これらのリスクについては社会の人々で互いに支え合うことでそれらのリスクに対処し、リスクに見舞われた方が社会からこぼれ落ちることのないようにする → それでも貧困に苦しむことになってしまった方を公的に助ける※1というのが社会保障の基本的な考え方です。
「社会の人々で互いに支え合うことでリスクに対処し、社会からこぼれ落ちる人を最小限にする。こぼれ落ちてから助けるのではなく未然に防ぐ。」このセーフティネットの役割を社会保障(社会保険や社会福祉など)が担っています。
社会保障が誕生したのは19世紀ドイツのビスマルクが制度化したときといわれています。まだ社会保障がなかったときは、ケガや病気をしたひとは貧困で苦しむなどで治安等が悪化してしまいました。
※資本家と労働者の格差が大きくなってしまい、この問題に対処するために社会保障が誕生しました。くわしくは社会保障制度の始まりは?を参照。
「リスクにそなえて国民があらかじめお金(社会保険料)を出し合い、リスクに見舞われた方に必要なお金やサービスを支給し、生活を支える。」
このセーフティネットがあることでリスクに必要以上におびえずに自立した生活を送ることができ、一人ひとりがやりたいことに挑戦できるような環境が生まれるのです。そして、その一人ひとりの活力が社会や経済を発展させるのです。
1年間の社会保障の費用についてはこちらの記事を参照。
※参考文献:香取照幸, 教養としての社会保障, 2017年
こんなページもみられています
税金や保険・年金などの小学生・中学生向け教材・テキスト