年金・保険関連
更新日:2024年10月29日
健康保険や厚生年金保険の保険料は標準報酬月額をもとに計算されます。ここでは標準報酬月額の等級や決まり方などについて説明していきます。
標準報酬月額とは?標準賞与額とは?わかりやすく解説。
この記事の目次
標準報酬月額とは?月収によって変わる?


標準報酬月額とは、報酬(給料など)の月額を区切りのよい幅で分けた金額のことをいいます。
※標準報酬月額が多ければもらえる年金額などが増えます。くわしくは下記で説明しています。


自分の報酬が何等級にあてはまるのかザッと把握しておきましょう。健康保険や厚生年金保険の保険料は標準報酬月額をもとに計算されます。
※以下の等級表のように、健康保険では50等級(共済組合は46等級)、厚生年金保険では32等級に区分されています。

標準報酬月額は以下のとおり

自分の月収だと、標準報酬月額がいくらになるのか照らし合わせてみましょう。

標準報酬月額の等級表
標準報酬月額の等級表
月収40万円だったら標準報酬月額はいくら?

月収が40万円の場合は標準報酬月額が41万円となります。
※月収(報酬)の対象になるものは、給料(基本給)や各種手当も含まれます。くわしくは下記で説明しています。
※標準報酬月額が多ければもらえる年金額などが増えます

以下のページで税金や保険料がシミュレーションできます。
手取りと税金をパッと計算!かんたんシミュレーション

では下記で健康保険と厚生年金の保険料を計算シミュレーションしていきます。


保険料はどうやって計算する?
健康保険の保険料は?

健康保険の保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。たとえば標準報酬月額が30万円、健康保険料率が10%だとすると、以下のようになります。

300,000円標準報酬月額 × 10%保険料率 ÷ 2 = 15,000円健康保険料(年間18万円)
※40歳~64歳の場合は年間約20.6万円。
※÷2をしているのは、保険料は会社と折半のため。保険料の半分は会社が支払ってくれています。
厚生年金の保険料は?

厚生年金の保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。たとえば標準報酬月額が30万円、厚生年金の保険料率が18.3%だとすると、以下のようになります。

300,000円標準報酬月額 × 18.3%保険料率 ÷ 2 = 27,450円健康保険料(年間約33万円)
※÷2をしているのは、保険料は会社と折半のため。保険料の半分は会社が支払ってくれています。

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報酬に含まれるもの(手当など)は?
手当なども報酬に含まれる


報酬の対象になるものは、給料(基本給)や手当のほかにも「通勤手当」も含まれます。したがって、通勤手当をたくさんもらっている場合、標準報酬月額が高くなります。
※手当には、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等が含まれます。
※傷病手当や出産手当金、育休手当(育児休業給付金)は含みません。
※報酬とは、労働の対償として事業所から現金または現物で支給されるもの。
※給与収入(総支給額)については給与収入は総支給額?を参照。

※参照:協会けんぽ標準報酬月額・標準賞与額とは?
※参照:日本年金機構標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのですか。



では次に、自分の標準報酬月額がどうやって決定するのか下記で説明していきます。決まり方は数種類の方法があるのでザッと把握しておきましょう。


自分の標準報酬月額はどうやって決まる?
標準報酬月額は、通常は以下の方法1および2の決め方によって決定されます。

ほかにも、途中で変更になるような方法3.や方法4.で決まる場合もあります。

標準報酬月額の決め方

方法1.資格取得時の決定
従業員が雇用されたときに労働契約などに基づいて標準報酬月額が決定されます。ここで決定された標準報酬月額はその年の8月まで使用されます。
※ただし、6月1日から12月31日までに資格取得して標準報酬月額が決定した場合は、翌年の8月まで使用されます。


方法2.定時決定(算定基礎届)
方法1.で決定した標準報酬月額は、毎年1回決定し直します。
7月1日になる前の3か月(4月、5月、6月)に支払われた報酬月額をその期間の月数で割った金額が標準報酬月額として決定しなおされます。ここで決定された標準報酬月額はその年の9月から翌年の8月まで使用されます。
※支払いの基礎となる日数が17日以上あるもので算定します。たとえば、5月は休職により16日分しか支払われなかった場合には、4月と6月の報酬総額を2か月で割った金額をもとに標準報酬月額が決定されます。
※参照:協会けんぽ標準報酬月額の決め方
※参照:日本年金機構標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。

ほかにも下記のような決定方法があります。くわしくは下記で説明していきます。
方法3.随時改定
方法4.育児休業等終了時に決定



随時改定とは?2等級以上の差が出たときは決め直される?
随時改定について


昇給などで支払われる給料等が大幅に変わったとき、事業主からの届出により標準報酬月額が決め直されます。ここで決定された標準報酬月額は、その年の8月まで使用されます。
※ただし、その年の7月以降に改定された場合は翌年の8月まで使用されます。


随時改定は、固定的賃金※1に変動があり、変動前の標準報酬月額と比べて※22等級以上の差が生じたときに、固定的賃金の変動があった月から4か月目に改定されます。
※1 残業代などは固定的賃金に含まれません。基本給・家族手当・役付手当・通勤手当・住宅手当など稼働や能率の実績に関係なく、月単位などで一定額が継続して支給される報酬をいいます。
※2 固定的賃金の変動月以後継続した3か月の間に支払われた報酬総額を3か月で割った金額と比べる。
※等級については上記の表で説明しています。
※参照:協会けんぽ標準報酬月額の決め方
※参照:日本年金機構標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。



育児休業等終了時に差が出たときは改定を申込みできる?
随時改定について


3歳未満の子を養育するための育児休業等が終わった後に、育児等を理由に報酬が下がったとき、被保険者が事業主に頼んで申出をした場合は、標準報酬月額の改定をすることができます。
※育児休業等終了時に3歳未満の子を養育している被保険者からの申出を受けた事業主が「育児休業等終了時報酬月額変更届」を提出します。

次の条件を満たす場合、標準報酬月額を改定することができます。
※1月~6月に改定された場合、再び随時改定等がない限り、改定された標準報酬月額はその年の8月まで使用されます。また、7月~12月に改定された場合は、翌年の8月まで使用されます。

条件
  • 改定後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じること。
    ※等級については上記の表で説明しています。
    ※標準報酬月額は、育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月の報酬をその月数で割った金額にもとづいて計算されます。ただし、支払基礎日数が17日未満の月は除きます。
  • 育児休業終了日の翌日が属する月以後3か月のうち、少なくとも1か月における支払基礎日数が17日以上であること。
    ※特定適用事業所(常時500人を超える被保険者を使用する企業)に勤務する短時間労働者は11日以上であること

※参照:協会けんぽ標準報酬月額の決め方
※参照:日本年金機構育児休業等終了時報酬月額変更届の提出

標準報酬月額が上がると?メリットとデメリット
標準報酬月額と年金の関係


給料等が増えて、標準報酬月額が上がれば社会保険料が上がります。ただし、標準報酬月額が上がれば、年金として支給される金額が増えます。

標準報酬月額が上がるのはデメリットだけじゃないことを覚えておきましょう。

標準報酬月額が上がると?

デメリット
毎月支払う社会保険料が上がってしまう。
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メリット
支給される年金額が増える。ほかにも傷病手当金が支給される際にはその金額も増える。
※年金とは、老後の年金のほかにも障害年金遺族年金も含まれます。
※老後の年金の計算方法についてはこちらの記事で説明しています。


標準賞与額とは?
標準賞与額とは賞与(ボーナスなど)から千円未満を切り捨てた金額のことをいいます。
標準賞与額には以下のように上限が設定されています。


健康保険・共済組合の場合
上限額:年度の累計額573万円

厚生年金保険の場合
上限額:1ヶ月あたり150万円(年間3回まで)
※支給1回につき、150万円が上限となります。
※同じ月に2回以上支給されたときは合算。
※年4回以上支給される賞与については、標準報酬月額の対象となる報酬となります(標準賞与額の対象外)。

※参照:全国健康保険協会標準報酬月額・標準賞与額とは?
※参照:日本年金機構厚生年金保険の保険料