年金・保険関連
更新日:2023年7月28日
特定入所者介護サービス費(補足給付)とは?


特定入所者介護サービス費(補足給付)とは?
介護保険施設に入所した際の食費・居住費は介護保険対象外のため全額自己負担になります。

ですが、所得の低い利用者には負担上限額が設定されています。上限額を超えた食費・居住費については介護保険から支給されます(これを補足給付といいます)。


介護サービスを利用する方の所得に応じて、下記のように第1~3段階に区分が分けられています。

第1~3段階にあてはまる利用者が補足給付の対象となります。


補足給付の対象となる所得区分(第1~3段階)

▶たとえば65歳以上の夫婦2人暮らしで住民税が課税されておらず、本人の公的年金等の収入が120万円以下の場合は第3段階①になります。

公的年金等の収入には障害・遺族年金も含みます。
※その他の合計所得金額は、公的年金等の収入以外の合計所得金額。
※配偶者が課税されている場合は補足給付の対象とはなりません(世帯分離後も勘案されます)。
※参照:厚生労働省サービスにかかる利用料
※参照:厚生労働省介護・高齢者福祉




お金持ちは対象外?

上記の表を見てわかるように、預貯金等がたくさんある方は補足給付の対象外となります。

お金持ちの方は補足給付のメリットを受けることができないようになっています。ちなみに、預貯金等には預貯金のほかに株式や投資信託、現金や金銀などが含まれます。

上記の第1~3段階にあてはまった方は下記で説明するように食費・居住費が安くなります。では、どれくらい安くなるか下記で見ていきましょう。


食費・居住費はどれくらい安くなる?(補足給付)
上記の表で説明した第1~3段階にあてはまった方は下記のように費用が安くなります。

ただし、第1~3段階にあてはまらない場合は基準費用になります。

たとえば第2段階にあてはまった方で、ユニット型準個室を利用する場合、食費は1.2万円、居住費は1.5万円となります。

第1~3段階にあてはまった方は食費・居住費が安くなる
表2 居住費・食費の負担限度額(補足給付)

※参照:厚生労働省サービスにかかる利用料


下記は第1~3段階にあてはまらず、基準費用で介護施設を利用した場合の利用料をシミュレーションしたものです。

施設サービス費は27万円としています(利用者負担は1割)。

※要介護度などについては、こちらのページを参照。

では次に、特定入所者介護サービス費が対象外でも減額される場合について下記で説明していきます。資産等が勘案されます。


対象外でも減額される場合がある?
特定入所者介護サービス費(補足給付)は所得の少ない利用者が対象であり、第1~3段階にあてはまった方が対象です。


ただし、対象外の方でも下記の条件をすべて満たす場合、特例で負担軽減の対象になります。

特例で安くなる条件
下記をすべて満たす世帯は利用料が安くなります。
※お住まいの市区町村によって詳細が異なる場合があるので、くわしくは市区町村HPでご確認ください。

  • 2人以上の住民税が課税されている世帯である(非課税世帯じゃない)
  • 世帯の年間収入から、施設の利用者負担の年間見込額を引いた額が80万円以下である
  • 世帯の預貯金等の金額が450万円以下である
  • 介護保険施設に入所し、補足給付を受けていない
  • 日常生活に利用する資産以外に資産がない
  • 介護保険料を滞納していない
親を扶養するときは注意?

別世帯の親と同居して扶養する予定の方は注意しなければいけないポイントがあります。

親が介護と無縁なくらい元気なら問題ありませんが、介護サービスを利用するくらいの状態の場合は同居して扶養するとデメリットが大きくなってしまう可能性があります。

親を扶養すると税金が安くなったり、社会保険料が安くなったりするメリットがあります。

ただし、親を扶養すると補足給付の対象外となり、介護サービスの利用料が高くなったりするデメリットがあるので、親を扶養するときはしっかり検討するようにしましょう。