ベーシックインカムは、国民一人一人に対して、無条件に、定期的に、少額の現金を配る制度のこと。
世界各国で関心を集めている制度であり、スイスやカナダなどで導入実験が行われています。
この制度は「複雑な資力調査を行ったうえで、所得が一定金額に満たない人を対象に給付するものではない。また、所得が増えても給付が打ち切られることはない」とされています※。
※参考文献:「ベーシックインカムへの道」ガイ・スタンディング著
ベーシックインカムという考え方の柱を成す要素である「無条件」という言葉には3つの意味があります。
無条件にすることで余計なコストや不公正を無くすことができます。
※所得審査のための調査費用や調査時間が無くなります。
無条件なので、「何かをしないとお金が支給されない」ということがありません。
また、後ろめたさを感じたりすることなくお金を受け取れるのがポイントです。
ずさんな資力調査をなくしたり、調査のためのコストを無くすため。また、あえて所得制限内に抑えるような行動を助長させないためなど。
用途をあらかじめ決めず、自らの判断で用途を決める。
職に就こうと努めることなどを給付の条件にしない。条件の困難さは人によって異なるので不公正が生じるため。
では次に、ベーシックインカムの目的について下記で説明していきます。ベーシックインカムは裕福な暮らしを保障することが目的ではありません。
ベーシックインカムの目的は一人ひとりの暮らしを経済面で基礎的に保障することであり、全面的な保障や裕福な暮らしを保障することを目的としていません。
また、すべての社会保障制度や福祉サービスを廃止することを目的とした制度でもありません。
ベーシックインカムを導入することで以下のような効果が期待できます※。
ベーシックインカムで期待されるメリットをザッと把握しておきましょう。
芸術関係など。
すべての方に給付されるので、受給者を物乞いのような立場に置かずにすむ。
所得が少ない人ほどお金の重みが大きいから。
自動安定化装置とは経済を安定させる仕組み。こちらの経済安定化を参照。
など。
ベーシックインカムの反対論として以下のようなことがよく挙げられます。
特に財源の問題と雇用と仕事への影響について強く批判されています※。
など。
社会保険の対象とされるリスクは失業、病気、事故、障害、妊娠などの偶発的リスク。製造業の安定したフルタイムの雇用に就く人が多かった時代にはよく機能していた(人々に重大な影響を与えるリスクが保険の対象だった)。しかし、経済のあり方が大きく変わった時代では機能しなくなってきた。特に、雇用の不安定が原因で経済的な安全が脅かされる人々にとっては社会保険はあまり適していない※。
資力調査(生活保護などを申請するひとの資産等の調査)は行政コストが大きくなる。申請者にも大きなコスト(長大な書類に記入したり、待たされたり)を強いられる。また資力調査は、プライバシーを侵し、申請者にとって屈辱的なものになってしまう。それゆえに、本当に必要でも受給していない方が大勢いる。逆に、本来取りたい行動(就きたい職に就くなど)を取らず、あえて給付を受ける方も出てくる。何よりも、受給者以外の人たちが制度を守りたいと思わないことが問題※。
職を持つことは所得だけでない価値があり、アイデンティティの意識・規則正しい生活・社会への貢献など、人々を幸せにする効果があり、ベーシックインカムよりも雇用保証が好ましいという主張がある。職に就きたいと希望するすべての人(障害をもつ方を含む)に雇用が保証される「雇用保証」が本当に実現できるのなら生活の安全は満たせるかもしれない。しかし、実際に保証されるのは、その人の能力に適していて、十分な賃金が支払われる雇用ではなく、給料が安く、期間が限られ、無理やり用意したような仕事や生産性の低い仕事にならざるをえないため、適しているとはいえない※。
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