産後パパ育休とは?もらえるお金(給付金)は育休と同じ?

2024.11.03 更新

産後パパ育休を取るつもりの方は条件や日数など把握しておきましょう。この記事では産後パパ育休(出生時育児休業)についてわかりやすく説明していきます。

この記事の目次

産後パパ育休とは?出生時育児休業
出生後8週間以内の子供が対象

産後パパ育休(出生時育児休業)とは、出生後8週間以内の子供を育てるために仕事を休業することができる制度です。
※雇われて働いている方は育休をもらえる権利が法律(育児・介護休業法、労働基準法、男女雇用機会均等法)で定められています。くわしくはこちらの記事を参照。

条件にあてはまれば産後パパ育休として仕事を休むことができます。

取得するための条件は?
  • 出生後8週間以内の子を養育する労働者(日々雇用を除く)であること
    ※産後休業を取得した労働者は取得できません。対象者は主に男性になりますが、養子縁組をした場合など、法律の要件を満たす場合には女性であっても対象となります。

  • 有期契約労働者(パートや派遣など期間を定めて雇用される方)は、出生日または予定日のいずれか遅いほうから起算して8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日まで雇用契約がなくなることが明らかでないこと

※参照:厚生労働省育児・介護休業法のあらまし

産後パパ育休が取得できない時もある?
会社の契約によっては取れないときがある

次のような労働者について「産後パパ育休をすることができないこととする労使協定(会社との契約)」があるときは、事業主は産後パパ育休の申出を拒むことができ、拒まれた労働者は産後パパ育休を取得できません。

  • 雇用された期間が1年未満の労働者
  • 産後パパ育休の取得を報告してから8週間以内に雇用関係が終了する労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

※参照:厚生労働省育児・介護休業法のあらまし

では次に、産後パパ育休の期間はどれくらいなのかについて下記で説明していきます。


産後パパ育休の期間はどれくらい?
上記のとおり、産後パパ育休の期間は「子供の出生後8週間以内で4週間(28日)まで」です。
※出産予定日より早く産まれた場合は、「出生日から出産予定日までの日数」+「出産予定日から8週間」までの間に4週間(28日)育休を取得できます。
※出産予定日より遅く産まれた場合は、「出産予定日から出生日までの日数」+「出生日から8週間」までの間に4週間(28日)育休を取得できます。

4週間まとめて取得することも可能(2回に分割して取得することも可能)です。

産後パパ育休中に働いてもいいの?
産後パパ育休の期間中に就業させることができると定めた労使協定(会社との契約)があれば、産後パパ育休期間中に就業することができます。就業する際は休業開始前日までに「就業できる日など」を事業主に申し出る必要があります。
※事業主は就業日等を提示し、労働者が同意すれば就業することができます。
※参照:厚生労働省育児・介護休業法のあらまし

では次に、産後パパ育休を取得したときにもらえる金額はいくらなのかについて下記で説明していきます。

産後パパ育休中に給付金はいくらもらえる?

出生時育児休業給付金(産後パパ育休を取得した期間に支給される金額)は育児休業給付金と同じです。

休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%です。くわしくは下記のとおりです。
※上限額は月294,344円です。
※2025年に支給額を80%(休業前の手取りの10割)にするよう検討されています。

支給額の計算式
産後パパ育休の給付金の計算式は育児休業給付金と同じです。
※参照:厚生労働省Q&A~育児休業給付~

育児休業給付金の支給計算式
育児休業給付金の支給計算式

※支給日数は28日(4週間)が上限です。
※休業開始時賃金日額とは:休業開始前6ヶ月間の賃金を180で割った金額。

どれくらいの金額がもらえる?支給額の例

育休前の月収が約20万円の場合は? 支給額は一日あたり約4500円となります。
育休前の月収が約30万円の場合は? 支給額は一日あたり約6700円となります。
育休前の月収が約40万円の場合は? 支給額は一日あたり約8900円となります。



支給額のほとんどは手取りになる?
給付金は非課税所得のため、税金がかかりません。また、休業中の社会保険料が免除されます。
※雇用保険法第12条。
したがって、支給額のほとんどが手取りになります。

※住民税については来年度の金額に反映されるので、今年度の住民税は支払う必要があります。
※くわしくは育児休業給付金とは?手取りはいくら?育休前の80%になる?を参照。

では次に、産後パパ育休の給付金をもらう条件について下記で説明していきます。条件は育休と同じです。

給付金をもらう条件は?
育児休業給付金は、雇用保険に加入していなければ支給されない

下記の条件にすべてあてはまる方が出生時育児休業給付金の支給対象者となります。

雇用保険に加入していない方は支給されません。

支給条件

  • 雇用保険被保険者であること
  • 産後パパ育休(出生時育児休業)を取得していること
  • 産後パパ育休を開始した日の前2年間に、賃金支払基礎日数(賃金や報酬の支払い対象となっている日数のこと)が11日以上ある月が通算して12カ月以上あること

※原則、日給者の場合は各月の出勤日数、月給者の場合は各月の暦日数。
※雇用保険の被保険者期間において産前休業開始日等を起算点として、その日前2年間に賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上※1ある完全月が12カ月以上ある場合でも要件を満たすものとされます。
※1 11日以上の月が12カ月ない場合、完全月で賃金支払基礎となった時間数が80時間以上の月を1カ月として算定します。
※休業期間中の就業日数が、最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること。
※「最大」は、28日間の休業を取得した場合の日数・時間です。
※休業期間が28日間より短い場合は、その日数に比例して短くなります。(14日間の休業の場合→最大5日(5日を超える場合は40時間))



パートや派遣など期間を定めて雇用されてるひとは?
有期雇用労働者(パートや派遣など期間を定めて雇用される者)の場合は、上記に加えて、下記の条件を満たさなければいけません。

  1. 子の出生日※2から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
    ※2 出産予定日前に出生した場合は「出産予定日」。

※参照:厚生労働省Q&A~育児休業給付~

上記の支給条件をわかりやすく説明

産後パパ育休で給付金がもらえる判定をフローチャートにしてわかりやすく説明していきます。
※くわしい内容を知りたい場合は上記の条件をチェックしましょう。

支給条件フローチャート
支給条件フローチャート

では次に、育休の取得手続きについて下記で説明していきます。育休を取るときは事前に伝えましょう。


産後パパ育休を取得するときは事業主に申請

産後パパ育休を取得するときは勤務先(事業主)に伝えなければいけません。

従業員が育児休業を取得することを伝えると、事業主から「出生時育児休業申出書」を渡されます。

産後パパ育休の申請
従業員が育休を取得する際に事業主から「出生時育児休業申出書」を配布されます。
氏名や休業期間などを記入して提出しましょう。

※勤務先に無ければテンプレートをダウンロードしましょう。

記載する内容は?
出生時育児休業申出書には下記の項目などを記入することになります。

  • 申出の年月日
  • 氏名
  • 子の氏名、生年月日、労働者との続柄等(子が出生していない場合は、出産予定者の氏名、出産予定日、労働者との続柄)
  • 休業を開始しようとする日
  • 休業を終了しようとする日

など。

注意ポイント
産後パパ育休を取得するときは下記のポイントに注意しましょう。

  • 2回分割する場合もまとめて申し出ること
    ※まとめて申し出なかった場合は、事業主は後の申出を拒否することができます。
  • 希望どおりの日から休業するためには、原則として産後パパ育休を開始しようとする日の2週間前までに申し出ること
    ※上記より遅れた場合、事業主は一定の範囲で休業を開始する日を指定することができる。
    ※労使協定によっては申出期限が「2週間超から1か月の範囲内で定める日」とする場合もあります。


給付金を申請するには?

産後パパ育休の給付金は、「子供の出生日から8週間を経過する日の翌日」から申請が可能になります。

申請は事業主がおこなうことになります。
※申請期限は申請可能となった日から2か月後の月末まで。

申請から給付金が振り込まれるまでの大まかな流れは以下のとおりです。

1.給付金の申請をする
事業主がハローワークに申請して以下の書類を受け取ります。

ハローワークから受け取る書類
▶育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書
▶雇用保険被保険者証休業開始時賃金月額証明書(育児)

※どちらも事業主がハローワークからもらうことになります。
2.従業員が申請書に記入
1.で事業主がハローワークから請求した「申請書」を従業員に渡して記入してもらいましょう。
給付金を申請する従業員は、申請書とともに下記の書類を添付して事業主に提出しましょう。

添付書類
・母子健康手帳などの育児の事実を確認できる書類のコピー
・振込先がわかる通帳のコピー

※申請書は下記のページを参考に記入しましょう。
※参照:厚生労働省 育児休業給付について育児休業給付の内容と支給申請手続[PDF]
※参照:厚生労働省雇用保険事務手続きの手引き
3.申請書を提出後、お金が振り込まれる
従業員から2.の申請書を受け取り、1.で受け取った「雇用保険被保険者証休業開始時賃金月額証明書(育児)」と一緒に事業主がハローワークに提出します。提出期限は出生日から8週間を経過する日の翌日から2か月後の月末までなので気をつけましょう。

これで出生時育児休業給付金の申請は完了です。支給決定後に通知が届き、約1週間で従業員の口座にお金が振り込まれます。

※休業開始時賃金月額証明書(育児)の記入例は以下のページにあります。事業主は提出を忘れないようにしましょう。
※参照:厚生労働省雇用保険事務手続きの手引き


産後パパ育休中の社会保険料は免除される?
産後パパ育休中は社会保険料が0円になる

産後パパ育休を取得した期間は、事業主の申出により、社会保険料(健康保険・厚生年金保険)が全額免除されます。
※事業主・従業員ともに保険料が免除されます。
※産前産後の国民年金と国保についても免除されます。


つまり、産後パパ育休を取得した期間の保険料は0円になります。
※ちなみに、厚生年金の保険料が免除されても「保険料を納めた期間」として扱われるので安心してください。

また、免除されているあいだも健康保険は同じように使用することができます。
※たとえば、病気やケガなどの治療費は育休前と同じように3割負担になるので安心してください。

保険料が免除されるには条件がある?

産後パパ育休を取得すると社会保険料が全額免除されますが、免除されるには条件があります。

免除ポイント1
くわしく説明すると、「育児休業等を開始した日が含まれる月」から「その育児休業等が終了する日の翌日が含まれる月の前月まで」の期間について保険料が免除されます。

例①:たとえば、5月20日に休業開始、5月31日に休業して育休を終了した場合、5月の社会保険料は免除されます。
例②:たとえば、5月20日に休業開始、5月30日に休業して育休を終了した場合、5月の社会保険料は免除されません。
免除ポイント2

上記に加えて、「育児休業等開始日が含まれる月」に育児休業等を14日以上取得した場合にも保険料が免除されます。

例:たとえば、5月1日に休業開始、5月14日に休業して育休を終了した場合、5月の社会保険料は免除されます。

賞与(ボーナス)にかかる社会保険料については、賞与月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合に限り免除されます。

※共済組合や健康保険組合の被保険者の保険料も免除されます。
※参照:日本年金機構従業員が育児休業を取得・延長したときの手続き

※参照:厚生労働省育児・介護休業法のあらまし


賃金を受けたら給付金が減る?
賃金の金額によっては給付金が減ってしまう

産後パパ育休中に勤務先で働いて賃金を受けることもできます。
※休業中に就業が認められる場合に限ります。

ですが、休業中に賃金を受けてしまうと給付される金額が減ってしまうことがあります。

さらに、長時間働くひとは給付金が支給停止されてしまうので気をつけましょう。

くわしくは下記の記事で説明しています
育休中に働いたら給付金は減額する?副業やアルバイトも?

ここまで説明したように、産後パパ育休は産まれてすぐの赤ちゃんのための制度です。独身の方もこれから子供ができる予定の方も産後パパ育休について理解しておきましょう。