仕事で負ったケガや病気が「治らないくらいの症状」だったときは大変です。そんなときは労災保険から年金が支給されます。この記事では労災保険の給付のひとつである傷病補償年金について説明していきます。
傷病補償年金とは?年金がもらえる?
傷病補償年金とは仕事が原因の病気・ケガの治療後1年6ヶ月を経っても治らないときに支給されるものです。
※傷病等級3級以上にあてはまる場合。
※お金は労災保険から支給されます。
会社員やアルバイトの方は万が一のときのためにチェックしておきましょう。
条件をもう少しくわしく
※もう少しくわしく説明すると、つぎの2つの条件にあてはまったときに支給されるものです。
【2つの条件】
・その病気やケガが治っていないこと(治ゆしていないこと)
※治ゆとは、傷病の症状が安定し、医学上一般にみとめられた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなった状態(症状固定)をいいます。
・その病気やケガによる障害の程度が傷病等級表の傷病等級に該当すること
※賃金をもらって働く従業員は
労災保険に加入することになります。保険料については事業主(雇用主)が全額負担することになっているので安心してください。
労災と認められたときに適用される
労災保険は、ケガや病気などが業務災害,複数業務要因災害または通勤災害と認められたときにわたしたちを助けてくれます。
仕事と関係のないケガなどは労災保険の対象外になるので注意しましょう。
業務災害とは
仕事中のケガ、仕事が原因で発生した災害や病気などが業務災害となります。
※くわしくは業務災害とは?を参照。
複数業務要因災害とは
複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする傷病等のことをいいます。
※ダブルワークをしている方などがあてはまります。くわしくは複数業務要因災害とは?を参照。
通勤災害とは
通勤によって被った病気、ケガまたは死亡が通勤災害となります。移動の経路から逸脱し、または中断した場合は、その後の移動も含め「通勤」とはなりません。
※くわしくは通勤災害とは?を参照。
※参照:厚生労働省労災保険給付の概要
どのくらいの金額がもらえるの?
傷病補償年金としてもらえる金額は以下のようになっており、ケガや病気の程度によって変わります。
傷病補償年金の金額はいくら?
傷病等級表については傷病等級表を参照
給付基礎日額等については給付基礎日額・算定基礎日額を参照
※参照:厚生労働省休業(補償)等給付 傷病(補償)等年金の請求手続
注意
※傷病(補償)年金が支給される場合、療養補償は継続して行われますが、休業(補償)給付は支給されなくなります。
※療養開始後3年を経過しても傷病補償年金を受けている場合には平均賃金の1200日分の補償を支払うことで会社側が補償を打ち切りにして解雇をすることが可能となる例外規定もあります。
どれくらいの金額がもらえるの?
たとえば10月に被災された方の傷病等級が3級であり、給料が月収30万円でボーナスを年間70万円もらっているとすると、給付基礎日額と算定基礎日額は以下のように計算されます。
30万円 × 3ヶ月 ÷ 92日
※1 =
9,782円
70万円 ÷ 365日 =
1,917円
※1 七月は31日間、八月は31日間、九月は30日間、賃金締切日が月末として計算
※給付基礎日額とは直前3ヶ月間に支払われた賃金総額のこと。くわしくは給付基礎日額・算定基礎日額を参照。
給付基礎日額と算定基礎日額がわかったので次に年金額を計算します。
被災された方に給付される年金額は以下のようになります。
9,782円 × 245日分 = 約240万円
1,917円 × 245日分 = 約50万円
約240万円 + 約50万円 = 約290万円
以上の年金額が被災された方に毎年給付されます。さらに、傷病特別支給金の100万円が一時金として支給されます。
※労災から給付される年金等は非課税所得なので所得税や住民税はかかりません。また、国民健康保険料などの社会保険料が増えることもありません。
※年収(給与や事業などの収入)に含めて税金等の計算をしないように注意しましょう。
※出典:国税庁労働基準法の休業手当等の課税関係