▶失業手当はいくらもらえる?
失業手当(基本手当)として支給される金額は1日あたり約5,000~8,000円が多い。退職前の月収が20万なら失業手当は日額約4,950円になる。
※たとえば給料が月収15万なら支給額は1日あたり約4,000円(ひと月あたり約11万。90日間で36万円になります)。くわしくは下記で説明しています。月給20万~50万の場合に失業保険でもらえる金額をシミュレーション。
▶失業手当の手取りはいくらになる?
失業手当には税金がかからないが、もらった金額のすべてが手取りになるわけではないので、思ったより少なめ。
※ただし、やむをえず失業した場合は保険料が免除されるので手取りは多くなる。くわしくは下記で説明しています。
▶もらえる期間はどれくらい?
もらえる期間は離職した理由によって変わる。最長360日。倒産など、やむをえず離職したときは期間が長め。
※くわしくは下記で説明しています。
仕事を急に失い、給料がもらえなくて生活に困る方もいると思います。そんな方を援助する制度が「基本手当」です。
※一般的に「失業保険」や「失業手当」ともよばれています。
簡単に説明すると、基本手当とは次の仕事が見つかるまで(失業してから1年間まで)お金を給付してくれる制度です。
※お金がもらえる日数は人によって異なります。
派遣社員の場合は、派遣切りや会社から契約を更新されずに失業するひとも多くいます。基本手当をもらうための条件や支払われる金額はどのくらいなのかチェックしておきましょう。
※やむをえない理由で失業した場合は手続きをすれば保険料も安くなるのでチェックしておきましょう。
では次に、基本手当(失業保険)をもらうための条件について下記で説明していきます。退職する予定の方はチェックしておきましょう。
失業中に基本手当(失業保険)をもらうには、次の条件のいずれにもあてはまる必要があります。
何もしないでもらえるわけではないので気をつけましょう。基本手当をもらうつもりの方はチェックしておきましょう。
基本手当(失業保険)の支給を受けるには上記の要件のほかにも手続きが必要です。支給されるまでのながれについては下記で説明しています。
では次に、基本手当(失業保険)を受けるために必要なものについて下記で説明していきます。持ち物を準備してハローワークで手続きをしましょう。
基本手当(失業保険)を受給するための手続きに必要なものは以下のとおりです。
以下のものを持参してハローワークにて手続きを行いましょう。
※参照:厚生労働省Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
基本手当(失業手当)として支給される1日当たりの金額は賃金日額の50~80%となっています。
賃金日額 = 離職前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180
以下に月収別のシミュレーションをしているので、退職予定の方はもらえる金額をチェックしておきましょう。
月収25万なら失業手当の支給額は1日あたり約5,600円(月額約15.8万になります)。
基本手当の金額は月収別に以下のようになっています。
※月収については離職以前の月収となります。
離職前の月収 | もらえる金額 |
---|---|
月収が20万円のとき | 基本手当の支給額は 1日あたり約4,950円となります。 ※月額約14万円(28日分) 60~64歳は1日あたり約4,790円 ※月額約13万円(28日分) |
月収が25万円のとき | 支給額は1日あたり約5,600円となります。 ※月額約15.8万円(28日分) 60~64歳は1日あたり約5,000円 ※月額約14万円(28日分) |
月収が30万円のとき | 支給額は1日あたり約6,100円となります。 ※月額約17万円(28日分) 60~64歳は1日あたり約5,100円 ※月額約14万円(28日分) |
月収が40万円のとき | 支給額は1日あたり約6,700円となります。 ※月額約19万円(28日分) 60~64歳は1日あたり約6,000円 ※月額約17万円(28日分) |
月収が50万円のとき | 支給額は1日あたり7,065円(29歳以下の上限額) ※月額約19.8万円(28日分) 支給額は1日あたり7,845円(44歳以下の上限額) ※月額約22万円(28日分) 支給額は1日あたり約8,300円(59歳以下) 上限は1日あたり8,635円(59歳以下の上限額) ※月額約23万円(28日分) 支給額は1日あたり7,420円(60~64歳の上限額) ※月額約20.8万円(28日分) |
※2024年8月1日からの金額。
※基本手当の支給額は基本手当日額で決まります。基本手当日額とは、基本手当として支給される1日当たりの金額であり、賃金日額に給付率をかけて計算されます。給付率は45%~80%となっており、賃金日額が低い方ほど高い給付率となります。
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では次に、基本手当(失業手当)の手取りがいくらになるか下記で見ていきましょう。失業前後でシミュレーションしています。
基本手当(失業手当)は非課税所得なので、支給された手当に税金はかかりません。
※雇用保険法第12条。
※したがって、年末調整や確定申告をするときに収入として申告しないように気をつけましょう。
ただし、失業中も国民健康保険料などの保険料は支払うことになります。
したがって、失業手当としてもらった金額のすべてが手取りになるわけではありません。
下記で手取り金額をシミュレーションしているので、基本手当(失業手当)を受け取ったときの手取りがいくらになるかチェックしておきましょう。
40歳未満、独身、世田谷区、失業前の年収300万円(月収25万円)として計算しています。
失業前(失業手当をもらう前)
▶月収25万円のとき
失業中(失業手当を受給中)
▶月収約15.8万円のとき
※上記の金額(月収約15万円)は、失業する前の月収が25万円だったときの失業手当の額。
では次に、基本手当(失業手当)がもらえる期間について下記で説明していきます。仕事を失った理由などによってもらえる期間が変わるのでチェックしておくことをオススメします。
基本手当(失業手当)がもらえる期間は年齢や雇用保険に入っていた期間・仕事を失った理由などによって決定されます。
期間は最短90日、最長360日です。以下の表は基本手当がもらえる期間をまとめたものです。
※受給期間は失業してから1年間までです。受給するつもりの方は早めに手続きしましょう。
※病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により30日以上求職活動ができなくなった場合は、その日数分だけ受給期間を延長することができます(最長で3年間延長可能)
倒産や解雇などで仕事がなくなったとき(下記表❶)は基本手当がもらえる日数が多く、自己都合で退職したとき(下記表❸)は基本手当がもらえる日数(所定給付日数)が少ないのが特徴です。
※特定理由離職者のうち、正当な理由のある自己都合により離職した方については、所定給付日数が「一般の離職者」と同じく、被保険者期間が10年未満で90日、20年未満で120日、20年以上で150日になります。
※参照:ハローワークインターネットサービスよくあるご質問
※参照:ハローワークインターネットサービス基本手当の所定給付日数
では次に、基本手当が支給される日程について下記で説明していきます。給付制限がある方は数か月かかります。
最初の基本手当(失業手当)は、受給手続きをした日から約1か月後に自分の口座にお金が振り込まれます。具体的には失業の認定日※の約7日後です。
※認定日とは、基本手当の受給手続きをした日から4週間後にハローワークにて失業していることの認定を行う日のことです(その後4週間ごとに失業の認定が行われます)。
※ただし、給付制限を受けている場合には給付制限期間が経過した後の認定日から支給となります(振込は約1週間後になります)。
最初の基本手当が支給されたあとは4週間ごとに失業認定が行われ、失業が認められれば1か月分の基本手当が支給されることになります。
※早く再就職が決まり、失業手当の支給残日数が1/3以上残っている方は再就職手当が支給されます。
申請してすぐにお金がもらえるわけではないので基本手当(失業保険)をもらうつもりの方は支給日を覚えておきましょう。
では次に、基本手当がもらえるまでの待期期間と給付制限について下記で説明していきます。場合によっては失業手当がもらえるまで数か月かかるのでチェックしておきましょう。
基本手当の受給資格を得てから最初の7日間は、基本手当は支給されません(これを「待期」といいます)。
「待期」が終わってから基本手当の支給が始まります。
ただし、「自分の責任による解雇」や「理由もなく退職した」などの場合は給付制限が発生します。給付制限の期間中は基本手当が支給されないので注意しましょう。
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※受給資格決定日は、離職票の提出と求職の申込みを行った日になります。
※受給までのくわしいながれは下記の項目で説明しています。
※参照:ハローワークインターネットサービスよくあるご質問(雇用保険について)
派遣社員の方が退職するときに気になるのが「自己都合」か「会社都合」です。「離職の理由は自己都合になるのかどうか」は基本手当を受給する上で大事なポイントです。
離職の理由については自己都合になる場合が多いですが、仕事を紹介されないまま契約を切られた場合は会社都合になります。
ちなみに、自己都合か会社都合かの判定は「本人の主張だけ」または「事業主の主張だけ」で決定されません。
※離職票や離職理由を確認できる資料からハローワークが判定を行います。
基本手当(失業手当)の支給を受けるまでのながれは以下のようになっています。
かんたんに説明すると、求職の申込みをして失業の認定を受けると基本手当(失業手当)が支給されます。
基本手当(失業手当)の支給を受けるには求職の実績が必要になるので注意しましょう。
①ハローワークで申込み
退職後、離職票など必要書類を用意してハローワークで求職の申込みと受給資格決定の手続きを行います。
※必要書類については上記で説明しています。
↓
②受給資格決定
受給資格が決定したら、7日間の待期後、指定された日に開催される受給者説明会に参加する。
↓
③受給者初回説明会
受給者説明会が終わると、1回目の失業認定日が伝えられます。
※説明会の終了後に雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が渡されるので無くさないようにしましょう。雇用保険受給資格者証はやむをえない理由で退職した方が保険料の減額を申請するために必要になります。
↓
④初回の失業認定
1回目の失業の認定が行われます。失業認定が行われると基本手当(失業手当)が振り込まれます。
※自己都合で退職した方は1回目の失業認定を受けたあと給付制限期間(2か月間)があるのですぐには失業手当は支給されません。制限期間が終わった後(2か月後)に2回目の失業認定を受け、そのあと最初の失業手当が振り込まれます。
↓
⑤失業手当が支給される
失業認定後、約1週間後に1か月分の基本手当(失業手当)が振り込まれます。そして4週間後に2回目の失業認定が行われます。
↓
⑥2回目の失業認定を受ける
2回目の失業の認定が行われます。失業認定が行われると2回目の基本手当(失業手当)が振り込まれます。
※2回目の失業手当が支給されるには、2回目の失業認定日までに最低2回の求職活動実績(次の項目で解説)を作る必要があります。
↓
⑦失業手当が支給される
失業認定後、約1週間後に1か月分の基本手当(失業手当)が振り込まれます。そして4週間後に3回目以降の失業認定が行われます。
※次回の失業手当が支給されるには、次回の失業認定日までに最低2回の求職活動実績(次の項目で解説)を作る必要があります。
↓
⑧以降、繰り返し
再就職または支給期間が終了するまで失業認定と失業手当の支給が繰り返されることになります。
※早く再就職が決まり、失業手当の支給残日数が1/3以上残っている方は再就職手当が支給されます。
以上のように、失業中にお金が支給されるには失業の認定を受ける必要があります。では次に、失業の認定を受けるための実績について下記で説明していきます。求職活動は何でもいいわけではありません。
基本手当(失業手当)を受けるには求職活動の実績をつくる必要があります。
※失業認定日までに求職活動の実績をつくると失業の認定が行われ、基本手当(失業手当)が支給されます。
求職活動の実績になるもの、または実績にならないものがあるので注意しましょう。
求職活動の実績として認められるのは以下のような活動です。
実績として認められないものは?
※参照:厚生労働省Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
では次に、短期間で会社等をやめたときの基本手当(失業保険)について下記で説明していきます。すぐに会社等をやめてしまった方はチェックしておきましょう。
入社して社会保険や雇用保険へ加入したのに、すぐに退職するような方も中にはいると思います。
たとえば新卒で入社した会社を数日でやめたり、派遣会社を1日でやめてしまったりした場合、基本手当(失業手当)をもらうことはできません。
上記のもらえる期間で説明したように、自分の都合で会社等を1年未満でやめた場合、失業手当の支給日数は0日になります。
したがって、自分の都合で会社を1日でやめて失業手当をもらって、新しく入社してまた1日でやめて失業手当を繰り返しもらうようなことはできません。
※雇用保険の加入条件は雇用保険とは?で説明しています。条件を満たしていれば勤務先が加入手続きをすることになります。短期間でやめたときは加入手続きと資格喪失手続きを事業主が同時に行うことになります。
失業保険を少しだけもらって早めに再就職、または、失業保険を貰う前に就職し、再就職が早くに決まったときには再就職手当がもらえます。
※失業手当が支給される残りの日数によって金額が変わります。
ただし、失業保険をもらう前に再就職した場合、条件に当てはまっていなければ再就職手当はもらえません。
簡単に説明すると、基本手当の受給手続き後、7日間の待期期間が終わった後に就職したものでなければ、再就職手当は支給されません。
※基本手当を受給資格を得てからの最初の7日間を「待期期間」といいます。待期期間は上記で説明しています。
※給付制限がある場合、待期期間が終わった後の1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
したがって、失業保険をもらう前であり、7日間の待期期間が終わる前に再就職をした場合には再就職手当は支給されません。
※また、受給資格決定(求職申込み)前から採用が決まっていたところに雇用されたものではない等の条件があります。
では次に、やむをえない事情で失業したときは保険料が安くなることについて下記で説明していきます。失業したら保険料が安くなることがあります。
上記のシミュレーションをみてわかるように、お金を稼いでいなくても年金などの保険料は支払わなければいけません。
ただし、倒産や解雇などの会社都合等でやむをえず退職したひとは保険料が減額されます。
※65歳未満のひとに限ります。たとえば1年間の保険料が約20万円なら約4万円~8万円に軽減されます。
保険料の支払いを軽減するためには申請が必要になるので、お住まいの地域の役所で申請をしましょう(雇用保険受給資格者証が必要になります)。
※雇用保険受給資格者証はハローワークに離職票を提出し、求職の申し込みをしたのち(約1週間後)に開催される雇用保険受給者初回説明会で配布されます。くわしくは上記の支給までのながれで説明しています。
減額してくれる期間は離職日の翌日の属する月から、翌年度3月末までなのでお早めに申請しましょう。
また、国民年金についても失業等の特例により免除できる場合があるので、役所で一緒に申請をするようにしましょう。
※おすすめ記事:失業等をした場合は国民年金の特例免除ができる?
※参照:日本年金機構国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間
「失業中にアルバイトをしても基本手当は受給できるのか」は基本手当を受給する上で大事なポイントです。
簡単に説明すると、基本手当をもらいながらアルバイトをしても問題ありませんが、一定時間以上勤務すると基本手当が受給できなくなったりします。
ただし、注意しなければならないことが以下のようにいくつかあります。
働く条件によっては基本手当の支給がストップしてしまう場合もあるのでチェックしておきましょう。
※参照:厚生労働省Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
※参照:東京ハローワーク求職者給付に関するQ&A
失業してから1年を過ぎてしまうと基本手当がもらえなくなるので注意してください。