健康保険などの保険証があれば、歯医者さんや病院などでかかる料金は1割~3割の負担で済みます。
※2024年12月2日以降は保険証の発行は無くなります(マイナンバーカードが保険証の役割を担います)。
安く治療を受けられるのはありがたいですが、「毎月保険料を支払っているのに、なんで無料じゃないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
ですが、医療費が無料だと「困った問題」が起こってしまうのです。理由は下記で説明していきます。
※過去には無料の時代もありました。くわしくは下記で説明していきます。
日本の医療保険制度はだれでも必要な時に良質な医療を受けられる仕組みになっています。また、「どこの病院でも」「何回でも」受診できるような仕組みにもなっています。
これで患者が支払う料金が無料の場合どうなるのか。
「病院で風邪っていわれたけど、早く治したいし、なんかあったら怖いから、何回もみてもらお。タダだし。」というように必要以上に医療を受ける方が出てきてしまう恐れがあるのです。
では、必要以上に医療を受ける方が出てきてしまうとどうなるのか見ていきましょう。
※医療保険については→医療保険とは?何も知らない人向け
患者から求められればお医者さんとしては一応診察をしなければならず、必要以上に医療を提供してしまうことになります。
そのぶんの医療費は国が負担することになるので、財政が圧迫されることになってしまいます。
したがって、必要以上に医療を受けるひとの発生を防ぐために患者にも一部料金を負担してもらっているわけです。
患者にも負担してもらうことで「必要なときに医療を受けにいく」という意識が患者に芽生え、お医者さん側は「患者に必要な医療をちゃんと提供する」という意識が芽生えるのです。
患者が支払う料金が無料じゃない理由は「過剰に医療を受けるのを防止するため」なんです。
※学生向けの教科書(保険など)については→税金や保険を学ぼうで解説。
かつて高齢の方は「医療を受けても無料」の時代がありました。
1973年に行われた「老人医療費無料化」です。これにより経済的に受診を控えていた方(病気を抱えた高齢者達)の受診を大きく増加させることができました。
しかし、必要以上に医療を受ける高齢者達があふれてしまうという「病院のサロン化」問題が発生しました。このままにしていては本当に医療が必要なひとが困ってしまいます。
また、高齢者の医療費が無料だったため高齢者の受診が大幅に増加し、国の負担が大きくなってしまいました。大幅に増加した高齢者の受診料を国が負担していたため、財政が苦しくなってしまったのです。
この問題を解決するために「高齢の患者にも医療費の一部を負担してもらう」ことになったわけです。
※高齢者は1割~3割負担。現在、70歳~74歳の高齢者や後期高齢者の負担割合を3割にする議論がおこなわれています(高齢化のため高齢者自身で負担する割合を増やす目的)。
医療を受ける費用が無料になるのは嬉しいですが、必要以上に医療を受けるひとがあふれてしまって、医療制度全体が崩壊したら困るので「医療費の一部負担」は仕方のないことなのです。