年末調整を2箇所でしてしまった!だけど何が問題なの?

2024.11.21 更新

アルバイト等を掛け持ちしており、わけもわからずそれぞれの勤務先に年末調整をしてしまったひともいると思います。この記事では年末調整を二カ所の勤務先でしてしまった場合について説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶年末調整を二つ出してしまったらどうすればいい?
二箇所で年末調整すると税額が正確でない場合がある。ただし、両方で年末調整した場合でも確定申告をすれば精算できる。


▶年末調整を2つ出したけど103万以下なら大丈夫?
ダブルワークして2つの勤務先から給料をもらっており、合計の年収が103万以下の場合、2つの勤務先で年末調整をしても特に問題はない。
※くわしくは下記で説明しています。


▶確定申告しなくちゃダメ?
ダブルワークをしていても確定申告しなくていいときがある。ただし、税金が戻ってくる場合があるので確定申告をするのがオススメ。
※くわしくは下記で説明しています。

では次に、年末調整を2つ出してしまった場合について下記で説明していきます。勤務先が2つある人はチェックしておきましょう。

この記事の目次

2か所で年末調整をしてしまったときは?
2か所で年末調整をしてしまったときは?

アルバイトのかけもちなどで勤務先が複数ある人は、年末調整主に勤務している職場で行うことになります。

2か所で年末調整をしてそのままにしてしまうと、所得控除などが重複して適用されてしまうため、本来支払わなければいけない税額よりも少なくなってしまう場合があります。
※両方の勤務先で年末調整を行っても正確な税金を支払ったことにはならないので気をつけましょう。
※そのまま知らんぷりしていると税金が加算されるなどの罰則を与えられる場合があります。


2か所で年末調整をしてしまったひとはどうすればいいの?

ダブルワークなどをしている場合には確定申告をして税金を支払うことになります。

2か所の勤務先で年末調整をしてしまっても、確定申告をして正しい金額を支払えば特に問題はありません。

※確定申告は1年間の収入をまとめて税金の計算をする手続きです。1つの勤務先ごとに確定申告をするわけではありません。
※確定申告をすれば税金が戻ってくることもある(下記を参照)。
※年末調整で扶養控除等申告書を2つ出してしまった…という方は確定申告をしましょう。

※※副業が禁止されており、ダブルワークをしていることがバレたくない場合は注意しましょう。給与支払報告書が市区町村に提出されているので、基本的にはダブルワークをしていることが主な勤務先に伝わることになります(調べられてしまえばバレてしまう可能性が高い)。
合計で年収103万以下なら問題ない?
所得税が0円になるため。

複数の勤務先で年末調整を行ってしまうと支払う税金額が正確に計算されませんが、合計収入が103万円以下なら年末調整をしてしまったとしても問題ありません。
※たとえば勤務先Aが年収63万、勤務先Bが年収40万など。


なぜかというと、給与収入が103万円以下だと所得税がかからない(0円になる)ので複数の職場で年末調整をしても脱税になることはありません。
※所得税が0円になる理由については収入が少ないと所得税は0円に?で説明しています。

したがって、ダブルワークをしていてもそれぞれの年収の合計が103万円以下なら不安になる必要はありません。年末調整をしてしまっても構いません。

※源泉徴収されている場合は年末調整をすれば所得税が返ってきます。
※確定申告をしたとしても所得税は0円になるので問題ありません。
※収入が100万円を超えると住民税がかかりますが、その場合はお住まいの地域から納付書が送られてくるので、そのときは忘れずに住民税を納めましょう(市区町村によっては97万円や93万円で住民税がかかる場合があります)。市区町村は勤務先から送られてくる給与支払報告書をもとに住民税を決定します。
※おすすめ記事:住民税非課税世帯から外れたときのデメリットは?

では次に、勤務先が2つ以上あるときの確定申告のやりかたについて下記で説明していきます。源泉徴収票を用意すれば確定申告はネットでかんたんに終わらすことができます。

2か所以上で勤務している場合は確定申告をしましょう

確定申告とは、1年間の稼ぎを申告して所得税を納める手続きのことです。


アルバイトやパートなど2つ以上の職場をかけもちして働いている方は確定申告が必要になる場合がほとんどです。
※確定申告は1年間の収入をまとめて所得税の計算をする手続きです。1つの勤務先ごとに確定申告をするわけではありません。


なぜかというと、勤務先が複数ある場合には年末調整で正確な税額が計算されないため、自分で確定申告をして税金を納めなければならないのです。
※ただし、次の項目で説明するように確定申告が必要ないときもあるのでチェックしておきましょう。

2か所以上で勤務している場合の確定申告やりかた

今はネットでかんたんに確定申告書を作成できます。作成した申告書を郵送して確定申告を終わらせましょう。
また、確定申告をする期間は決まっており、今年1年間(1月~12月まで)の収入について確定申告をする場合は翌年の2月16日~3月15日までに申告をしましょう。

※遅れても申告はできますが税金が加算される場合があります。


確定申告のながれ
STEP➊2枚の源泉徴収票など必要なものを用意する
※2枚とも年末調整済みだとしても確定申告で入力しましょう。くわしくは下記のダブルワークの確定申告のやり方で説明しています。
STEP➋確定申告書を作成する
STEP➌確定申告書を郵送し、税金を支払う(または税金が払い戻される)

※くわしいやり方は下記の記事で説明しています。

もし、確定申告をするのが不安な方は試しにテキトーに金額を入力して申告書のつくりかたを練習してみてもいいかもしれません。
※税務署に郵送する申告書に正しい金額を入力すれば問題ないので、ためしに申告書を何枚も作ってみましょう。

では次に、確定申告をしなくてもいいときについて下記で説明していきます。ですが、税金が戻ってくることが多いので申告するのをおすすめします。


確定申告をしなくてもいいときもある

ダブルワークなどで複数の勤務先をかけもちしていても、以下の条件のどれかにあてはまるときには確定申告をする必要はありません(収入が給料のみである場合)。
※ただし、確定申告をすると税金が戻ってくる場合があるので申告することをオススメします。確定申告のやり方については上記で説明しています。


また、副業が禁止されている会社員などの場合、ダブルワークしていることがバレてしまう可能性があるので注意しましょう。
給与支払報告書が市区町村に提出されているので、基本的にはダブルワークをしていることが主な勤務先に伝わることになります。
※くわしくはアルバイトのかけもち等のダブルワークはバレてしまう?を参照。

確定申告をしなくていい場合の条件
  • 給料を2つ以上の勤務先から受けており、年末調整されなかったほうの給料が1年間(1月~12月まで)で20万円以下のとき
  • 勤務先の給料の合計が1年間(1月~12月まで)で150万円以下のとき
    ※片方の勤務先で年末調整を受けている場合。
  • ※収入が給料のみである場合。
    ※出典:国税庁給与所得者で確定申告が必要な人

税金が戻ってくることが多い?
多く引かれるので申告すれば戻ってくる

ダブルワークをしているひとは、ほかの勤務先でも給料から税金が引かれている場合が多いでしょう。
※勤務先は源泉徴収をしなければいけないため。
源泉徴収として引かれる税金額は「おおざっぱ」な金額のため、ひとによっては通常よりも多く引かれ過ぎている場合があります。

このようなときは確定申告をして精算すればお金が返ってくるので安心してください。

※多い場合は数万~10万円ほど戻ってくる場合があります。なのでダブルワークをしている方は確定申告することをオススメします。ダブルワークの税金などについてくわしくは下記の記事を参照。

ダブルワークの税金や社会保険をわかりやすく解説

では次に、ダブルワークをしてるときの税金の計算方法について下記で説明していきます。どうやって所得税を計算するのかチェックしておきましょう。

ダブルワークの税金を計算してみよう

たとえば片方の勤務先の給料が1年間で80万円、もう片方の勤務先の給料が50万円だったとします。

どちらの給料も103万円以下なので、それぞれの勤務先で年末調整を行った場合、どちらの勤務先でも税金は0円になってしまいます。
※なぜ103万円以下は所得税が0円になるのかについてはこちらの計算過程を参照。


ですが、本来はそれぞれの給料を足し合わせて税金額を計算することになります。
※上記の場合、それぞれの給料(80万円と50万円)を足し合わせると130万円となります。この金額をもとに税金を計算することになります。

【ダブルワーク計算例】
まず給与所得を計算する
2つの勤務先の給与収入(80万円と50万円)の合計が1年間(1月~12月まで)で130万円とすると、給与所得は、

130万円給与収入55万円給与所得控除 = 75万円給与所得
給与所得については、給与所得とは?を参照。
給与所得シミュレーションで自分の収入を入力すれば金額を計算できます。2つの勤務先の合計収入を入力しましょう。

となります。他に所得がないので75万円が総所得金額となります。

次に課税所得を計算する
総所得金額がわかったので、次に課税所得を計算します。所得控除を48万円とすると課税所得は、

75万円総所得金額48万円所得控除 = 27万円課税所得
所得控除とは:税金を安くしてくれるもの。ここでは計算をわかりやすくするために基礎控除のみとしています。
課税所得とは:税金がかけられる所得のこと。

となります。

次に所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は

27万円課税所得 × 税率 = 所得税

となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、

27万円課税所得 × 5% = 13,500円所得税
所得税率については、所得税の税率を参照。
所得税については、所得税とは?を参照。

となります。以上のように、2つの勤務先で働いている場合は給料を合算して税金の計算をすることになります。
※ちなみに上記の場合、住民税は約30,000円になります。

※ダブルワークの税金などは下記のシミュレーションで計算できます。
税金・保険料シミュレーション

ここまで説明したように、2か所の勤務先から給料をもらっているひとは2か所で年末調整をしても税金が正しく計算されません。

ダブルワークをしているひとは上記でも説明したように基本的に確定申告が必要になるので上記を参考にサッと終わらせましょう。
税金が戻ってくることが多いので申告するのがオススメです。確定申告はスマホでもかんたんに出来るので安心してください。思ったよりかんたんに終わります。

どれくらい税金を支払うことになるか下記の記事↓でザッと把握しておくことをオススメします。