▶ダブルワークの税金はどうやって計算するの?
アルバイトの掛け持ちなどをしている場合、給料2つを合計して税金を計算しなければいけない。ダブルワークの場合は税金が引かれ過ぎてることが多い。
※くわしくは下記で説明しています。
▶確定申告はしなきゃいけないの?
稼いだ金額によっては確定申告をしなくてもいいときがある。ただし、税金が戻ってくる場合が多いのでしたほうがいい。
※くわしくは下記で説明しています。
▶ダブルワークで社会保険にどちらも入りたくない場合は?
2つのバイトの掛け持ちなどをしている場合、どちらも月収88,000円未満または週20時間未満なら社会保険に加入しない。
※たとえば、2つの勤務先でそれぞれ週20時間未満なら どちらも社会保険に加入しません。くわしくは下記で説明しています。社会保険に入りながら掛け持ちをするひとは特に注意しましょう。
サラリーマンなどの正社員が別の勤務先でアルバイトしたり、フリーターの方がパートやアルバイトなどを掛け持ちするとき、税金の扱いが少し複雑になります。
また、両方の職場で社会保険に加入することもあります。
仕事を掛け持ちして給料を2つもらっている方はダブルワークをしたときの税金や社会保険、確定申告などについて知っておくことをオススメします。
▶ダブルワークの社会保険
加入条件を満たさなければどちらの勤務先でも加入しない。
※くわしくは下記で説明しています。
▶ダブルワークの確定申告
確定申告をすれば税金が戻ってくることが多い。
※くわしくは下記で説明しています。
2か所以上の職場で給与をもらっている場合は税金の計算が少しだけ複雑です。
正社員が別の勤務先でアルバイトをしたり、パートやアルバイトを2つ以上掛け持ちするときは気をつけなければいけません。
たとえば2つの職場で給料が各80万円ずつだったとき、それぞれの給料からそれぞれの税金を計算するわけではなく、2つの給料を足し合わせた金額をもとに税金の計算をすることになります。
ダブルワークをしているひとは、ほかの勤務先でも給料から税金が引かれている場合が多いでしょう。
※勤務先は源泉徴収をしなければいけないため。
源泉徴収として引かれる税金額は「おおざっぱ」な金額のため、ひとによっては通常よりも多く引かれ過ぎている場合があります。
※たとえばダブルワーク先の月収が15万だと、本業の勤務先とは別に毎月8,700円の税金が引かれます。月収10万なら毎月3,700円、月収20万なら毎月約2万円引かれます。
※出典:国税庁源泉徴収税額表
このようなときは確定申告をして精算すればお金が返ってくるので安心してください。
※多い場合は数万~10万円ほど戻ってくる場合があります。なのでダブルワークをしている方は確定申告することをオススメします。確定申告についてはページ下記で説明しています。
2つの勤務先から給料をもらっている場合、給料を合計してから税金を計算することになります。
ダブルワークの所得税は以下のように計算していきます。
※税金がいくら増えるかについては下記の記事を参照。
ダブルワークで税金はいくら増える?月収2~9万円稼いだら?
たとえば片方の勤務先でもらった給料が1年間(1月~12月まで)で80万円、もう片方の給料が70万円だったとします。この場合それぞれの給料を足し合わせると150万円となります。この金額をもとに税金を計算することになります。
①まず給与所得を計算する
2つの勤務先の給与収入の合計が150万円とすると、給与所得は、
となります。他に所得がないので95万円が総所得金額となります。
②次に課税所得を計算する
総所得金額がわかったので、次に課税所得を計算します。所得控除を48万円とすると課税所得は、
となります。
③次に所得税の計算
課税所得がわかったので所得税を計算します。所得税は
となります。課税所得195万円以下は税率が5%なので、所得税は、
となります。以上のように、2つの勤務先から給料をもらっている場合、給料を合計してから税金を計算することになります。
※ちなみに上記の場合、住民税は約47,000円になります。
では次に、ダブルワークをしている方の社会保険について下記で説明していきます。加入条件を満たしている方はチェックしておきましょう。
※多くの場合は勤務先の片方だけで加入することになりますが、2つの勤務先で加入する場合もあります。くわしくは下記で説明していきます。
掛け持ちでダブルワークしている場合は、加入条件を満たしている職場の社会保険に加入することになります。
たとえばダブルワーク先で条件を満たしていなければ、片方だけ(本業の勤務先だけ)で社会保険に加入することになります。
※社会保険の加入は各事業所単位で判断を行うことになっています。両方の職場の賃金や労働時間を合計することはしません。
※参照:日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集
※どの勤務先でも社会保険に入りたくない方は下記の記事をチェック。
バイト先の社会保険に入りたくない。デメリットは?
つまり、どの勤務先でも加入条件を満たしていなければ社会保険に加入する必要はありません。
たとえば、1週間の勤務時間が両方20時間未満であったり、両方の職場のどちらも月収が88,000円未満である場合には、どちらの勤務先も社会保険の加入条件を満たしません。
※どちらか片方が月収88,000円以上かつ 週の勤務時間が20時間以上になれば、片方の勤務先で社会保険に加入する場合があります。
※常時50人を超える被保険者を使用する企業(特定適用事業所)の場合。
ダブルワークの注意点の1つは社会保険です。両方の職場で加入条件を満たした場合には届出※を提出する必要があるので気をつけましょう。
※「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を本人が年金事務所へ提出する必要があります。何もわからないひとにとっては「健康保険・厚生年金保険被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の手続きが難しいかもしれません。自分でややこしい手続きをしたくない場合、2つの勤務先で社会保険の加入条件を満たすことはあまりオススメしません。
※参照:日本年金機構複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き
では次に、ダブルワークの社会保険料はどうなるのかについて下記で説明していきます。
※ダブルワークをしているからといって社会保険料が必ず高くなるわけではありません。くわしくは下記で説明していきます。
たとえば片方の勤務先の年収が150万円、もう片方の勤務先の年収が20万円としたとき、年収150万円の勤務先で社会保険に加入することになります。
※片方の職場でのみ社会保険の加入条件を満たしている場合。
この場合、年収150万円のほうの月収※をもとに社会保険料が決まります。
※厳密には標準報酬月額。
片方の勤務先だけで社会保険に加入している場合は、2つの給料の合計額をもとに社会保険料が決まるわけではありません。
※2つの給料の合計で保険料が決まってしまったら、社会保険料の半分を負担することになる会社側が損してしまいます。したがって、社保加入が片方だけならダブルワークをしても社会保険料が上がるわけではありません。
※ただし、両方の職場で社会保険の加入条件を満たしており、2つの勤務先で社会保険に加入した場合は、それぞれの収入をもとに2つの勤務先で社会保険料を按分することになります。
2つの職場の合計年収が130万円未満であり、あなたに配偶者がおり、配偶者が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは配偶者の社会保険の扶養に入ることができます。
配偶者の社会保険の扶養に入れば、あなた自身が支払う社会保険料は0円になります(つまり、国民年金や健康保険料が0円になります)。
ただし、あなたの1年間の収入が130万円以上になると社会保険の扶養から外れるので、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります。
2つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、配偶者が国民年金と国保に加入している場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります。
勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります。
2つの職場で社会保険の加入条件を満たしておらず、あなたに配偶者がいない場合、あなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。
また、あなたの親族が会社の社会保険(健康保険および厚生年金)に加入していれば、あなたは親族の社会保険の扶養に入ることができます。そうでなければあなた自身で国民年金と国保に加入して保険料を支払うことになります(勤務先の社会保険に加入した場合は社会保険料を支払うことになります)。
くわしくは下記を参照。
ダブルワークをしていても社会保険の扶養でいられる?
確定申告とは簡単に説明すると、1年間の稼ぎを申告して税金を納める手続きのことです。
ダブルワークなどでアルバイトやパートを掛け持ちしている場合、基本的には確定申告が必要になります。
※片方の年末調整だけでは正確な税額が計算されないため、確定申告をして正確な税金を納めなければなりません。
ただし、下記で説明するように確定申告をしなくてもいいときがあります。
※確定申告をすれば税金が戻ってくる場合があるので、なるべく確定申告をすることをオススメします(くわしくは上記で説明しています)。
出典:国税庁給与所得者で確定申告が必要な人
では次に、ダブルワークがバレてしまう問題について下記で説明していきます。副業等が禁止されている方はチェックしておきましょう。
※ダブルワークは基本的に確定申告が必要ですが、申告しなくてもバレてしまう可能性が高いです。くわしくは下記で説明していきます。
ダブルワークの注意点の1つとして「勤務先にバレてしまう」ことが挙げられます。
※副業等が禁止されていなければ問題ありません。
本業が会社員でその他の勤務先でアルバイトをしているような場合、基本的には自分で確定申告をして税金を納めなければなりません。
ただし、確定申告をすると翌年度から勤務先が徴収する住民税の金額が他の社員よりも多くなるので、ダブルワークをして稼いでいることがバレてしまう可能性があります。
※住民税天引きのお知らせに記載されます(「主たる給与以外の合算所得区分」の「給与欄」に「*」マークが記載されます。)。
※下記で説明するように、申告をしなくてもダブルワークしていることが勤務先に伝わる場合があります。
また、アルバイトなどのダブルワークの場合は、「ダブルワークで稼いだぶんの住民税を別で納付する」ことが選択できません。したがって、ダブルワークをしていることが高確率でバレることになります。
副業※の場合、給与所得以外の所得にかかる住民税を自分で納付する選択ができます。
※副業とは、本業と別に業務に係る収入(ウーバーイーツやYouTube、ブログなど)を得ている活動をいいます。
複数の勤務先で給料をもらっており、主な勤務先でだけ住民税が天引きされている場合、その他の勤務先の給料についても、市区町村から主な勤務先に情報が伝達されます。
※その他の勤務先の給料の情報は給与支払報告書として市区町村に送られています。そして、市区町村はダブルワークしたぶんの住民税もまとめて徴収するためにその情報を主な勤務先に伝達します。
したがって、その他の勤務先の給料分の住民税が、翌年の住民税に反映されることになります。つまり、確定申告をしなくてもダブルワークしたぶんの住民税が主な勤務先で反映されて天引きされることになります。
副業などが禁止されている会社に勤めている方でダブルワークをしようと思っている場合は注意しましょう。もしバレしまえば、会社によっては契約違反で減給や解雇されてしまう場合もあります。
雇用保険は、会社などに雇用されている人(アルバイトなど含む)が加入する保険です。
複数の勤務先で働いている場合は主に賃金をもらっている会社でのみ加入することになります。
くわしい雇用保険については雇用保険ってなに?を参照。
下記の雇用保険の加入条件についてチェックしておきましょう。
複数の勤務先でそれぞれ雇用保険の加入条件を満たしている場合には、主に賃金をもらっている会社でのみ加入することになります。
複数の勤務先で雇用保険に加入することは出来ないので注意しましょう。
※ただし令和4年1月から、複数の勤務先で働く65歳以上の方が、そのうち2つの勤務先の合計勤務時間が20時間以上になる場合、特例で雇用保険に加入することができます。くわしくはこちらのお知らせで説明しています。
勤務先が一つだとしても以下の2つの条件を満たしていなければ雇用保険に加入することはありません。また、勤務先が複数あっても、両方の勤務先で労働時間がそれぞれ20時間未満であるなど、どの勤務先でも条件を満たさなければ加入することはありません。
雇用保険の加入条件
※昼間学生などは適用除外となり、雇用保険には加入できません。
※くわしい雇用保険については雇用保険ってなに?を参照。
住民税は原則、主な勤務先(給与を多くもらっている職場)で特別徴収されることになっています。
※特別調整されない場合は、お住まいの市区町村から納付書が送られてくれるので納付書を用いて納めることになります。
アルバイトやパートを掛け持ちしている場合、年末調整は主に勤めている職場で行うことになります。
どちらの職場でも年末調整を行ってしまうと所得控除が重複して適用されてしまうため、本来の税額よりも少なくなってしまう場合があります。
ただし、年末調整を2か所の勤務先に提出してしまったとしても確定申告をすれば問題ありません。
確定申告をする際は、勤務先がダブルワークを禁止していないか事前に確認しておきましょう。
※ダブルワークをしている場合、上記の項目で説明しているように基本的に確定申告が必要になります。
ダブルワークをすれば手取りが増えることになりますが、そのぶん税金も上乗せされることを把握しておきましょう。
※たとえば本業の年収が200万円の方がダブルワーク先で月収5万円を稼いだ場合、税金は年間約65,000円上乗せされます。
下記の記事で年収ごとに金額をまとめているのでチェックしておくことをおすすめします。
ここまで説明したように、それぞれの勤務先で年末調整をしても正しく計算されない場合があるので注意しましょう。
また、副業が禁止されている職場で働いている方は、バレてしまうと契約違反で罰則(解雇など)を与えられる可能性があるので気をつけましょう。