▶失業保険をもらうと扶養を外れるの?
たとえば妻が仕事をやめて失業保険を受ける場合、支給される日額が3,612円以上(60歳以上または障害を持つ方は5,000円以上)なら健康保険の扶養を外れる。支給額が少なければ扶養に入ったまま失業手当をもらうことはできる。
※ただし、給付制限等で支給を受ける前なら扶養対象になります。くわしくは下記で説明しています。
▶扶養外れる手続きをしないとどうなる?
社会保険(健康保険)の扶養から外れていることが発覚した場合、その事実が発生した日までさかのぼって、その期間の医療費(保険を使って診療したときのお金など)を返還することになる。
※くわしくは下記で説明しています。
▶失業保険と扶養に入る場合、どっちが得?
お金が欲しければ扶養に入らないほうがいい。
※退職前の年収が360万なら手に入るお金は約11万円。ただし、再就職するつもりもないのにズルして受給するのはルール違反です。くわしくは下記で説明しています。
失業保険(基本手当)をもらう場合、条件を満たさなければ扶養を外れてしまいます。
失業保険が支給されれば、社会保険(健康保険等)の扶養から外れることがほとんどなので覚悟しておきましょう。
※社会保険の扶養については社会保険の扶養とは?を参照。
失業保険(基本手当)が日額3,612円以上支給される場合、社会保険の扶養を外れることになります。
※年間130万以上になる見込みに該当するため。
※60歳以上の場合は日額5,000円以上で扶養対象外になります(年間180万以上になる見込みに該当するため)。
ちなみに、ほかに継続的な収入(遺族年金など)がある場合、その金額を含めて年間130万以上※になる見込みなら社会保険の扶養の対象外となります。
※60歳以上または障害を持つ方なら180万。
失業保険(基本手当)の支給が始まる前の期間であれば社会保険の扶養に入ることができます。
※年間収入が180万未満になる場合などの条件を満たした場合。くわしい条件は社会保険の扶養とはを参照。
つまり、7日間の待期期間および給付制限期間中は、健康保険等の被扶養者となることができます。
たとえば給付制限が2ヶ月あるなら、給付制限が終わるまで被扶養者の対象になります。
※支給が開始する日(給付制限期間の終了日の翌日)に扶養対象外になります。給付制限期間がない場合は7日間の待期期間満了日の翌日に対象外になります。
※おすすめ記事→社会保険の扶養とは?収入などの条件は?
※参照:日本年金機構従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
扶養に入った場合と入らなかった場合のメリット・デメリットについて下記にまとめました。
失業保険を受け取るつもりの方は扶養のことは気にしないで手当の支給を受けましょう。
▶メリット
健康保険料等の支払いが0円になる
※60歳未満の配偶者なら国民年金の支払いも0円になる。
▶デメリット
失業保険が受け取れない
※金額が3,611円以下なら扶養に入りながら失業保険を受け取れる(ほかに収入が無い場合)。くわしくは上記を参照。
※失業保険の支給額についてはもらえる金額はいくら?月収20~50万円のときを参照。
▶メリット
失業保険が受け取れる
▶デメリット
国民健康保険料がかかる
※金額については下記でシミュレーションしています。
失業保険の支給額→月額約17万円(日額約6,000円)
※60歳~64歳なら約14万円。
住民税の支払い→月額約1.2万(年間約15万円)
国民健康保険料の支払い→月額約2.5万(年間約30万円)
※40歳~64歳の場合は月額約3.0万(年間約36万円)
※世田谷区の場合
国民年金の支払い→月額約1.7万(年間約20万円)
※60歳以上なら国民年金は0円。
つまり、ひと月に手に入るお金は下記のとおりになります。
失業保険の支給額→0円
住民税の支払い→月額約1.2万(年間約15万円)
国民健康保険料の支払い→0円
国民年金の支払い→月額約1.7万(年間約20万円)
※配偶者の場合は国民年金の支払いも0円になります。
※60歳以上なら国民年金はかかりません。
上記の結果から、現在失業中であり、再就職するまでにお金が欲しければ失業保険を受け取ったほうがいいでしょう。
※お金が欲しいだけのために再就職するつもりもないのにズルして受給するのはルール違反です。
失業保険(基本手当)と老齢厚生年金は65歳になるまで併給できません。
したがって、失業保険をもらう予定であり、老後の年金を早くもらうつもりの人は注意しないといけません。
たとえば、年金の受給年齢を60歳に繰上げして年金を受給している場合、ハローワークで求職の申し込みをした月の翌月から老齢厚生年金が支給停止されます。
たとえば5月10日にハローワークで求職の申し込みをしたら、6月分からの老齢厚生年金は支給停止されます。
※基本手当の受給期間が終わるまで(65歳になれば老齢厚生年金は支給されます)。
※上記の場合、4月分と5月分の年金については6月に振り込まれます。
ちなみに、老齢基礎年金については支給されます。65歳未満のひとが失業保険を受給することで支給停止するのは老齢厚生年金だけです。
退職後に失業保険(基本手当)をもらうつもりの方は社会保険(健康保険など)の扶養に入ることは多くの場合無理でしょう。
ただし、上記で説明したように「給付制限中」などで支給を受けていない期間は扶養に入れることを覚えておきましょう。
お金が欲しいだけのためにハローワークに通ったり、再就職するつもりもないのに失業の認定をもらったりするのはルール違反です。
だまってテキトーに実績をこなしていればお金をもらえるかもしれませんが、そんなセコいことをするのは面倒ですし、後ろめたい気持ちで受給するのは精神衛生上よくないです。また、ハローワークの職員さんの時間が取られたり、本当に求職している方が困ってしまいます。※自分の時間を大切に使ったほうがお得です。
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高年齢求職者給付金とは?64歳退職後に失業保険をもらう方が得?
無職の場合の国民健康保険料はいくら?
退職して失業保険を受給し、扶養に入らなかった場合に気になるのが税金や保険料についてです。
収入が0円になったとしても保険料などの支払いも0円になるわけではないので覚悟しておきましょう。
収入が基本手当のみである場合、税金はかかりません。
※基本手当は非課税所得のため。
ただし、今年度(6月から翌年5月)の住民税については去年(1月~12月末まで)の所得で決まるため、退職後1年目は無職で収入が0円だとしても高額な住民税がかかることがほとんどです。
※退職後の住民税については下記の記事で解説。
退職後、住民税はいくら?無職でも高い?安くなるのは2年目から?
国民健康保険料は前年1月~12月の所得などをもとに今年度の保険料(今年4月~翌年3月まで)が計算されます。
※基本手当は非課税所得のため保険料には関係ありません。
3月末に退職した場合の国民健康保険料をシミュレーションしてみましょう。
※下記のシミュレーションを見てわかるように、国民健康保険は前年1月~12月までの所得をもとに計算されるので、会社を退職して収入が0円になったとしても最初の年は保険料が安くありません。
※4月に国民健康保険に加入手続きをした場合は6月中旬に納付書が送付されます(4月から翌年3月までの1年分)。
※市区町村によっては送付される時期が異なります。
※再就職して社会保険に加入した場合、社保に加入した月の前月まで国民健康保険料を支払うことになります。
※再就職までかかる税金などは退職後のお金シミュレーションで計算できます。
※オススメ記事→無職になったら毎月かかるお金は?
社会保険の扶養の対象外であることがわかったときは、扶養を外れる届出を提出しなければいけません。
被保険者の勤務先に被扶養者の異動届を提出することになります。
※届出書は加入している保険組合に請求するまたはダウンロードして手に入れることも出来ます。
※雇用保険受給資格者証のコピーを添付して勤務先(社会保険担当)に提出しましょう。
しかし、扶養から外れることに気づかなくて扶養に入ったままにしている方も多くいると思います。
※発覚したときまたはお知らせが保険組合から送られてきたら届出を提出しましょう。
※バレるバレないにかかわらず、扶養条件のルールは守りましょう。自分の収入はすべて申告するようにしましょう。
社会保険の扶養から外れていることがあとになって発覚した場合、その事実が発生した日までさかのぼって、その期間の医療費(保険を使って診療したときのお金など)を返還することになります。
※保険料を返すわけではありません。
※発覚したときまたはお知らせが保険組合から送られてきたら届出を提出しましょう。
そして、その事実が発生した日(被扶養者の資格喪失日)から国民健康保険に加入することになります。
※国保の保険料については下記でシミュレーションしています。
※参照:日本年金機構第3号被保険者(専業主婦・主夫)からの手続きが遅れた方へ
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