別居している親や子供などを扶養するには仕送りに注意する?

2024.11.17 更新
別居していて住所が違う親や別居の子供を扶養する場合、仕送りが必要になります。仕送りはいくら必要なのか、手渡しや仕送りなしはダメなのか。この記事では別居している親や子供などを扶養する場合について説明していきます。

この記事のポイント(要点まとめ)


▶別居の親族を扶養するのに仕送りなしはダメ?
別居している親族を扶養するには仕送りが必要。社会保険のほうがルールが厳しいので注意すること。
※住所が違うと扶養に入れないわけではありません。
※税法上の扶養は下記で説明しています。

※社会保険の扶養は下記で説明しています。社会保険の扶養のほうが条件がややこしいので注意しましょう(仕送りが必要ない場合もあります)。


▶別居したら社会保険の扶養から外れる?
別居後または世帯分離後に、親族(子供や父親など)への仕送りが無ければ社会保険の扶養対象外になってしまう。
※妻や夫(配偶者)で単身赴任などの場合は仕送りをしなくても認められる場合があります。くわしくは下記で説明しています。


▶仕送りはいくら?決まりがある?

別居の親や子供を社会保険の扶養に入れる場合、仕送り金額にルールがある場合がある(たとえば毎月5万以上じゃなきゃダメなど)。
※くわしくは下記で説明しています。


▶仕送りをしていないとバレる?
定期的に状況確認がおこなわれるため、仕送りをしていなかったり、仕送りが手渡しだと、保険組合によっては社会保険の扶養が認められない場合がある。
※振込じゃないと事実確認が難しいため。くわしくは下記で説明しています。手渡しについては下記で解説。


▶親を扶養する条件を動画で見たい人↓

では、別居の家族を扶養するときのルール(収入や仕送り額など)についてくわしくみていきましょう。

この記事の目次
子供の扶養を動画でザッと内容を把握したいひと

別居している親族を扶養する際の仕送りについて

別居している親族でも扶養することができます。
※親族を扶養すれば税金が安くなったり、親族の保険料が0円になったりメリットがあります。

ただし、扶養するには仕送りが必要になります。

加入している保険組合によっては仕送り金額のルールがあったりするので、別居している子供や両親を扶養するつもりの方はチェックしておきましょう。


ここでは、扶養控除などの税法上の扶養にいれる場合社会保険の扶養にいれる場合について下記で説明していきます。

チェックポイント

▶税法上の扶養
アルバイトなどをしている場合、所得が多くなれば扶養対象外になる
※くわしくは下記で説明しています。


▶社会保険の扶養
別居の場合は仕送りが必要。ルールがいろいろあるので注意。
※年1回など定期的に現況確認がおこなわれます(収入や仕送り額など記入する)。くわしくは下記で説明しています。


▶仕送りについて
基本的には送金じゃないとダメ。また、社会保険の扶養の場合、金額にルールがあるので注意。

税法上の扶養(扶養控除など)に入れる場合は?
税法上の扶養(扶養控除など)に入れる場合は?

別居している親族(子供など)を扶養すると、税金が安くなる制度(扶養控除)が利用できます。

ただし、生計を一にすること(仕送り等)が必要になります。


たとえば1人暮らしをして一緒に住んでない子供に生活費などを送金しているなら、生計を一にしていると認められ、扶養控除を利用することができます。
扶養控除とは:16歳以上の親族を扶養すると税金が安くなる制度。
別居している場合、生計を一にしている(仕送り等をしている)ことを証明する書類の提出は必要ありません。万が一、仕送り等の事実を確認されたときのために、預金通帳など準備しておくことをオススメします。
※国外にいる親族を扶養する場合は送金書類などの証明の添付が必要になります
※参照:国税庁扶養控除生計を一にするの意義


配偶者と別居している場合は?

別居している配偶者(妻または夫)でも上記と同様です。単身赴任などをしていても、配偶者と生計を一にしていれば「配偶者控除」を利用することができます。
配偶者控除とは:妻または夫を扶養していると税金が安くなる制度。

収入が多いとダメ?
収入があっても多くなければ扶養OK

別居している親族がアルバイトなどをして収入がたくさんある場合、扶養の対象から外れてしまいます。
※扶養の対象になるには1年間の合計所得金額が少ないことが条件です。
※生活費や教育費としての仕送り金額は合計所得金額に含めません。
※出典:国税庁扶養控除生計を一にするの意義
※出典:国税庁贈与税がかからない場合


たとえば、別居している子供がアルバイトをしており、1年間(1月~12月まで)の収入が103万円(つまり、合計所得金額が48万円)を超えてしまうと扶養親族の対象から外れてしまいます。そうなれば扶養控除が利用できなくなるので注意しましょう。

※くわしい条件は下記の記事で説明しています。

※注意:上記は税法上の扶養のはなしです。社会保険の扶養は条件が違うので注意しましょう。くわしくは下記で説明しています。

では次に、別居している親族を社会保険の扶養にいれる場合について下記で説明していきます。社会保険のほうがルールがややこしいです。

社会保険(健康保険など)の扶養に入れる場合は?
社会保険(健康保険など)の扶養に入れる場合は?

別居している親族(子供など)を社会保険(健康保険など)の扶養に入れることは可能です。

ただし、別居している親族を扶養にいれる場合は仕送りが必要です。
社会保険の扶養の条件に「仕送りが必要」とされているため。
※保険組合によっては世帯分離をした場合も、別居扱いになる場合があります。


扶養の申請の際に、仕送り金額等を記入して届出を提出することになるので、別居している親族を扶養するつもりの方は仕送りを忘れないようにしましょう。

仕送りしていない場合は?

別居している親族を扶養に入れる際には、仕送りの事実や証明が必要になります。
※加入している保険組合によっては、扶養対象が学生なら省略できる場合もあります。
※ほかにも、扶養対象が配偶者(妻または夫)で「単身赴任などの一時的な別居」なら仕送りが必要ない場合もあります。ただし、多くの場合は仕送りが必要になります。

したがって、仕送りなしの場合は社会保険の扶養の条件を満たさないため、扶養の対象になりません。

※扶養するための届出や現状の再確認のための調査書を提出する際に金額を記入したり、仕送り額が確認できる書類を添付が必要になります。
※現況の再確認の際、協会けんぽの場合は「被扶養者現況申立書」を添付して提出することになります。
※仕送り無しで扶養に入れるのはルール違反です(学生は省略できる場合もあります)。バレるのが不安になるくらいならやめておきましょう。違反したときの対応は自分の保険組合HPなどで確認することをおすすめします。
※参照:全国健康保険協会被扶養者資格の再確認について

では次に、別居していて社会保険の扶養を外される場合について下記で説明していきます。条件を把握しておきましょう。

別居していて社会保険の扶養を外される場合とは?
別居していて扶養を外される場合とは?

社会保険の扶養を外されるときは以下のようなときです。
※条件を満たしていないことが判明したタイミングなどで扶養から外れることのお知らせが届きます。


扶養から外れるときは加入している保険組合の「届出」を提出して、扶養から外す手続きをしなければいけません。
※届出書は加入している保険組合に請求またはダウンロードして手に入れることが出来ます。

いつから扶養を外れる?

以下のどれかにあてはまるひとは、社会保険の扶養の条件を満たしていないので扶養から外れることになります。

こんなときは扶養から外れます

  • 自分で勤務先の社会保険に加入したとき
  • 75歳になって後期高齢者医療制度に加入したとき
  • 年間収入が130万円以上になる見込みがあるとき
    ※給与収入なら月収108,333円を超えるとき。
    60歳以上または障害者の場合は年間180万円以上になる見込みがあるとき
  • 仕送りしていないとき
    ※保険組合によっては毎月仕送りをしていないことが判明したときに扶養から外れる場合があります。
  • 被扶養者(扶養されるひと)の収入が仕送り額を超えたとき

など。
※加入している保険組合によっては他にも条件がある場合があります。

※社会保険の扶養の条件については社会保険の扶養とは?を参照。

扶養を抜ける手続きをしなかった場合は?
病院などに行っていればその費用を返すことになる

社会保険の扶養を外れていることがわかったときは、扶養を外れる届出を提出しなければいけません。

しかし、扶養から外れることに気づかなくてそのままにしている方も多くいると思います。社会保険の扶養から外れていることがあとになって発覚した場合、その事実が発生した日までさかのぼって、その期間の医療費(保険を使って診療したときのお金など)を返還することになります。
※保険料を返すわけではありません。
※扶養から外れるときはお知らせが届く場合があります。

※届出書は保険組合に請求するまたはダウンロードして手に入れることが出来ます。

また、配偶者(夫または妻)の場合、社会保険の扶養から外れている期間の国民年金の保険料が未納になってしまいます。2年以上未納のままにしておくと、あとから保険料を納めることが出来なくなってしまうので注意しましょう。

※年金を未納にしておくとデメリットがあります。
※国民健康保険への加入も同時に行いましょう。くわしくは国保の加入手続きを参照。

※参照:日本年金機構第3号被保険者(専業主婦・主夫)からの手続きが遅れた方へ

では次に、社会保険の扶養にいれる際の仕送り金額について下記で説明していきます。組合によってはルールが細かいことがあります。

社会保険の扶養は仕送り金額にルールがある?
収入が仕送り金額より多いとダメ

別居している親族を社会保険の扶養にいれる条件に「仕送りが必要」とありますが、仕送り金額にも決まりがあります。


仕送りのルールは以下のとおりです。

仕送りのルール↓
被扶養者(扶養されるひと)の収入が被保険者(扶養するひと)からの仕送り額未満であること

※参照:協会けんぽ被扶養者とは?
※参照:日本年金機構従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き


仕送りはいくら?収入が仕送り額を上回るとダメ?
仕送りの例


▶パターン①

たとえば仕送り額が年間60万円(ひと月当たり5万円)の場合、別居している子供の収入は1年間で60万円(月収5万円)未満でなければいけません。したがって、子供のアルバイト収入が月収4万なら、社会保険の扶養の対象から外れません。


▶パターン②

たとえば仕送り額が年間60万円(ひと月当たり5万円)の場合、別居している子供の収入は1年間で60万円(月収5万円)未満でなければいけません。したがって、子供のアルバイト収入が月収7万なら、社会保険の扶養の対象から外れてしまいます。
※自分の保険組合HPで確認することをオススメします。
※加入している保険組合によっては、扶養対象が学生なら仕送りの事実や証明を省略できる場合もあります。

仕送りに金額指定がある場合も?

加入している保険組合によっては、仕送り金額に指定がある場合があります。たとえば、「ひと月当たり最低5万円以上の仕送りが必要」などの条件がある場合があります。

条件を満たしていてもダメな場合?
仕送り金額等の条件を満たしていても、様々な状況を審査した結果、社会保険の扶養に入れない場合もあります。
たとえば被扶養者(扶養されるひと)の貯蓄や資産、直近数年間の収入などの家庭状況を含めて考え、経済的に自立していると判断される場合には扶養に入れない場合があります。

※原則、被保険者に生計を維持されていなければ扶養の対象にはなりません。

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親を扶養に入れるといくら節税できる?扶養控除で税金が安くなる?

では次に、仕送りは毎月じゃないといけないのかについて下記で説明していきます。仕送りのペースにもルールがある場合があります。

仕送りは毎月じゃないとダメ?
仕送りは毎月じゃないとダメ?

仕送りは半年にまとめて渡したり、年数回に分けたり、家庭によって方法が異なると思います。

しかし、加入している保険組合によっては定期的(ひと月ごと)に仕送りをしないといけない場合があります。

毎月の仕送りを忘れてしまうと、扶養の対象から外されてしまう場合があるので注意しましょう。
※加入している保険組合を確認しましょう。

仕送りが手渡しの場合は?

別居している親族を扶養に入れる際には、仕送りの事実や証明が必要になります。したがって、多くの保険組合では「手渡し」だと、社会保険の扶養に入れない場合があります。
※仕送りをしている証明ができないため、基本的には仕送りは「送金」でなければいけません。
※加入している保険組合によっては、扶養対象が学生なら仕送りの証明を省略できる場合もあります。


ただし、保険組合によっては手渡しだとしても預金通帳等と照らし合わせて、仕送りの事実を証明できれば(手渡しの仕送りで生計を維持していることが合理的に認められる場合は)社会保険の扶養として認められる場合があります。

※加入している保険組合HPなどで確認しましょう。

では次に、仕送りのほかに収入があっても扶養になれるのかについて下記で説明していきます。自分の収入を把握しておきましょう。

仕送りを受け取っている側にアルバイトや年金などの収入があってもいい?
仕送りを受け取っている側にアルバイトや年金などの収入があってもいい?

別居している親族がアルバイトや年金などの収入があっても、社会保険の扶養に入ることは出来ます。

ただし、その収入が1年間で130万円以上であったり、仕送り額よりも多かったりする場合には扶養に入れません。
※60歳以上の場合は180万円以上。
※仕送り額の条件については上記で説明しています。
※そのほか条件については社会保険の扶養とは?を参照。


したがって、アルバイト等で収入がたくさんあるひとは社会保険の扶養に入れないので、扶養に入ろうと考えている方は注意しましょう。

アルバイトや年金のほかにも収入に含まれる?
被扶養者(扶養されるひと)の収入には以下のようなものが含まれます。

など継続的な収入。
収入が1年間で130万円以上になる見込みなら扶養対象外になります。
※60歳以上の場合は180万円以上。
※加入している保険組合によって収入の範囲が異なることがあるのでしっかり確認しておきましょう。
※そのほか条件についてくわしくは社会保険の扶養とは?を参照。

子供が奨学金を受け取っている場合
子供が奨学金を受け取っている場合、加入している保険組合によっては少しややこしくなります。

保険組合によっては、奨学金が収入に入る場合があるため、奨学金をたくさんもらっていると社会保険の扶養から外れることがあるので注意しましょう。

※くわしくは下記の記事で説明しています。
奨学金は収入に入る?入らない?親の扶養から外れるときについて
別居の扶養まとめ


▶別居の親族を扶養して税金が安くなるには?
税法上の扶養に入れる場合は、生計を一にしていることが条件。
※くわしくは上記で説明しています。


▶仕送りが無いと、社会保険の扶養の対象外?
別居している親族を社会保険の扶養に入れる場合は、仕送りが必要。
※くわしくは上記で説明しています。


▶仕送りのお金は振込じゃないとダメ?
仕送りが手渡しだと社会保険の扶養が認められない場合がある。
※くわしくは上記で説明しています。


▶仕送り金額にはルールがある?
扶養されるひとの収入が仕送りよりも上回ると、社会保険の扶養の対象から外れてしまう。また、仕送り金額にはルールがある場合がある。
※くわしくは上記で説明しています。

社会保険の扶養については、加入している保険組合によって仕送り金額のルールがあったりするので注意しましょう。
※加入している保険組合の条件をしっかり確認することをオススメします。