遺族年金とは?老後の年金だけじゃない!わかりやすく説明

2024.11.04 更新

年金といえば「老後にもらう年金」が有名ですが、ほかにも「遺族年金」というものがあります。「年金は歳をとったときだけ」と思っている方はここで学んでいきましょう。この記事では遺族年金について簡単に説明していきます。

この記事の目次
遺族年金とは?老後にもらうお金のほかにもあるの?

遺族年金とは、一家の働き手の方が亡くなられたときその遺族に給付される年金です。
※「生計を維持されていた遺族」に給付されます。「生計を維持されていた」とは、同居しており(別居していても、健康保険の扶養親族である等であれば認められる)、前年の収入が850万円未満である方が該当します(または所得が655万5千円未満)。


死亡は誰もがかかえるリスクです。年金は歳をとったときのほかに死亡のリスクにも対応してくれています。
※年金は障害のリスクにも対応しています。くわしくは年金制度ってなに?を参照。


以下のとおり、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。

➊遺族基礎年金とは
国民年金に加入中の方が亡くなったとき、その方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に遺族基礎年金が給付されます。
※「生計を維持されていた方」とは、同居しており(別居していても、健康保険の扶養親族である等であれば認められる)、前年の収入が850万円未満である方が該当します(または所得が655万5千円未満)。
➋遺族厚生年金とは
厚生年金に加入中の方が亡くなったとき、その方によって生計を維持されていた遺族に遺族厚生年金が給付されます。
※「生計を維持されていた方」とは、同居しており(別居していても、健康保険の扶養親族である等であれば認められる)、前年の収入が850万円未満である方が該当します(または所得が655万5千円未満)。

では次に、遺族年金のもらえる要件について下記で説明していきます。要件にあてはまらなければ遺族年金はもらえません。


遺族年金のもらえる要件は?

遺族年金は、受給要件を満たすことで受給対象者のいずれかに給付されます。以下に遺族年金の受給要件および遺族年金をもらえる遺族を示します。

①遺族基礎年金の受給要件

次の1~4いずれかにあてはまったとき給付されます。

  1. 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
  2. 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の国内に住所を有する方が死亡したとき
  3. 老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
  4. 老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある方が死亡したとき

ただし、上記1, 2の場合、死亡した方について下記の保険料納付要件を満たす必要があります。


もらえる遺族

  • 子のある配偶者

※子(孫)とは次のいずれかにあてはまる方に限ります。また、いずれも婚姻していないことが必要。
●死亡当時、18歳になった年度の3月31日を経過していないこと
●20歳未満で障害等級1級または2級の状態にあること

※参照:日本年金機構遺族基礎年金の受給要件

②遺族厚生年金の受給要件

次の1~5いずれかにあてはまったとき給付されます。

  1. 厚生年金の被保険者が死亡したとき
  2. 厚生年金の被保険者期間に初診日がある傷病が原因で初診日から5年以内に死亡したとき
    ・初診日とは
    障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師等の診療を受けた日をいいます。
  3. 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
  5. 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある方が死亡したとき

ただし、上記1, 2の場合、死亡した方について下記の保険料納付要件を満たす必要があります。


もらえる遺族
死亡した方によって生計を維持されていた以下のいずれか優先順位が高い方(優先順位1→7)

  1. 子のある妻または子のある55歳以上の夫
  2. 子のない妻(30歳未満は5年間の有期給付)
  3. 子のない55歳以上の夫(受給開始は60歳から)
  4. 55歳以上の父母(受給開始は60歳から)
  5. 55歳以上の祖父母(受給開始は60歳から)

※子(孫)とは次のいずれかにあてはまる方に限ります。また、いずれも婚姻していないことが必要。
●死亡当時、18歳になった年度の3月31日を経過していないこと
●20歳未満で障害等級1級または2級の状態にあること

遺族厚生年金の改正で給付がなくなる?
2024年現在、遺族年金の改正が検討されています。

配偶者が亡くなったときに60歳未満で子供がいないひとは遺族年金の受給期間を”男女ともに5年間に統一する”ことを検討しています(現在は上記のとおりになっています)。
※現在 → 妻が亡くなった夫は55歳未満なら対象外、夫が亡くなった妻は30歳未満であれば5年間給付、30歳以上なら生涯給付。

ただし、改正後に現在受給しているひとが急にもらえなくなるわけではありません。すでに受給している人は改正対象外。今後のくわしい改正内容の情報に注目しておきましょう。

※女性については就労環境の差を考慮して 段階的に短縮をしていく方針。

※参照:日本年金機構遺族厚生年金の受給要件

保険料納付要件

次の1.もしくは2.のいずれかを満たすこと

  1. 死亡日の含む月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
  2. 死亡日に65歳未満であり、死亡日の含む月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと(死亡日は令和8年4月1日前にあること)

働いている人は遺族年金がもらえないの?

遺族年金を受け取っている人がアルバイトをしたり、会社員として働いたとしても、遺族年金が支給停止されることはありません。

ただし、子供が18歳になった年度の3月31日を経過した場合は遺族基礎年金が支給停止します。
※くわしくは上記の要件を参照。

遺族厚生年金については死亡当時の家族状況によって変わります

たとえば、子供がいる妻が遺族年金を受給した場合、子供が「18歳になった年度の3月31日を経過した」場合は遺族厚生年金が支給停止します。
※くわしくは上記の要件を参照。

では次に、遺族年金がいくらもらえるのか下記で説明していきます。どれくらいもらえるかザッと把握しておきましょう。


遺族年金はいくらもらえるの?

遺族年金としてもらえる金額は以下のとおりです。

万が一の時のためにどれくらいの金額がもらえるのかチェックしておきましょう。
※遺族年金には時効があり、受給できるようになってから5年以内に申請をしないと受け取れなくなってしまうので注意してください。

遺族年金のもらえる金額

※2024年度の金額
※参照:日本年金機構遺族基礎年金の年金額
※参照:日本年金機構遺族厚生年金の年金額

たとえばどれくらいもらえるの?
パターン①
※たとえば勤務年数20年の会社員(平均月収30万円、45歳の配偶者(妻)有り、18歳未満の子が2人)の場合、遺族年金は年間約169万円となります。
※上記の場合、中高齢の寡婦加算は支給されない。



パターン②
※たとえば勤務年数20年の会社員(平均月収30万円、45歳の配偶者(妻)有り、18歳未満の子が1人)の場合、遺族年金は年間約146万円となります。
※上記の場合、中高齢の寡婦加算は支給されない。



パターン③
※たとえば勤務年数10年の会社員(平均月収40万円、45歳の配偶者(妻)有り、18歳未満の子が0人)の場合、遺族年金は年間約115万円となります。
※上記の場合、中高齢の寡婦加算は支給される。遺族基礎年金は子供がいないので対象外。

上記受給要件の1,2,3のいずれかにあてはまるとき、報酬比例の計算において、厚生年金の加入期間が300月(25年)未満の場合は300月とみなされます。
※平成15年4月以降に厚生年金に加入したとして計算しています。
※遺族年金は生計を維持されていた遺族に支給されます。

では次に、遺族年金の税金について下記で説明していきます。



遺族年金は収入に含まれる?税金はかかる?

遺族年金は非課税所得なので収入に含まれません(障害年金も同じ)。

したがって、遺族年金として毎年受け取っている金額には所得税や住民税はかかりません。

※また、遺族年金を受け取っているからといって国民健康保険料などの社会保険料が増えることもありません。
※出典:国税庁所得税法
※出典:国税庁遺族の方に支給される公的年金等

※また、遺族年金をもらっている方が扶養親族になる場合、遺族年金の金額は扶養親族の条件である「合計所得48万円以下」の算定には含みません。したがって、遺族年金以外の合計所得が48万円以下なら扶養親族の対象になります。
▶社会保険の扶養は注意?
遺族年金を受け取っている方が親族の社会保険(健康保険)の扶養に入ろうとする場合は注意してください。社会保険の扶養については遺族年金も収入に含まれるので、金額によっては扶養の対象外になってしまう場合があります。

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以上のように、年金には老後の資金以外にも保険の役割があります。万が一のために遺族年金や障害年金のことをザッと把握しておきましょう。

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