▶1年間の国民年金はいくら?
国民年金として支払う金額は1年間で約20.4万円。収入が少ない学生は「学生納付特例」を申請すれば年金の支払いを先送りすることができる。
※くわしくは下記で説明しています。
▶学生は収入いくらまでなら申請できる?前年所得の意味がわからない…
支払いを先送りしてもらうには前年所得が128万以下じゃないとダメ。アルバイト収入が少しあるくらいなら申請できる。
※独身で扶養親族等がいない場合。くわしくは下記で説明しています。
▶学生が年金の支払いを先送りするには?
書類を提出して申請する必要がある。申請書に記入する内容はそれほど難しくない。
※くわしくは下記で説明しています。
20歳になると国民年金に加入して保険料を支払う決まりになっています。学生であっても加入して保険料を支払わなければいけません。
ですが、まだ大学生でお金がなくて支払えない、、、という方は多くいると思います。
そんな学生の方は「学生納付特例」を申請することで在学中の保険料を先送りすることができます。
※お金持ちの家庭なら、親などが代わりに支払う場合があります。この場合は学生が申請する必要はありません(親は社会保険料控除で節税できます)。
※学生納付特例とは在学中の国民年金保険料の支払いを先送りしてくれる制度(国民年金の免除制度の1つ)です。
国民年金の保険料は1年間で約20.4万円(月額16,980円/2024年度)です。ですが、「学生納付特例」の申請を行えば該当年度の保険料は0円となります。
ただし、保険料を先送りしているのであり、全額免除されているわけではないことを覚えておきましょう。先送りしたぶんは10年以内ならあとで支払うことができます。
※10年を過ぎたぶんは支払うことが出来ません。
では次に、学生納付特例を受けるための条件について下記で説明していきます。アルバイトをしている学生などはチェックしておきましょう。
学生納付特例を受けるには条件があります。かんたんに説明すると、あまりお金を稼いでいないことが条件です。
条件についてくわしくは以下のとおりです。
▶学生であること。
▶本人の前年1年間の所得が128万円以下※(給与収入なら年間約194万円)であること。
※独身で扶養親族等がいない場合。くわしくはこちらの審査表を参照。
※参照:日本年金機構国民年金保険料の学生納付特例制度
下記で具体的に金額をあてはめてシミュレーションしているので、もうすぐ20歳になる学生の方はチェックしておきましょう。
たとえばアルバイトをしている学生であり、去年1年間(1月~12月まで)の給料が194万円以下なら給与所得は128万円以下となるので、学生納付特例を受けることができます。
以上のように、アルバイトをしている学生だとしても去年1年間の所得が128万円以下(給与収入のみで194万円以下)なら学生納付特例を受けることができます。
※バイトを少ししているくらいなら問題なく受けることができます。
※ただし、勤務先で社会保険に加入する条件を満たしたときは厚生年金に加入して保険料を支払わなければいけません。
では次に、学生納付特例の申請方法について下記で説明していきます。何も手続きしないと年金の支払いは先送りされません。
免除(学生納付特例)を受けるには申請書を提出または送付する必要があります。
※学生納付特例の条件にあてはまっても、手続きをしなければ保険料は免除されません。
申請はお住まいの市区町村役所や年金事務所にて受け付けています。
※マイナンバーカードがあればスマホやPCで電子申請も可能。
学生納付特例の申請の手続きを行い、申請が認められれば在学中の国民年金保険料は0円になります。
※申請をしたのに納付書が届く場合があります。申請の結果は、申請してから約2~3か月後に通知ハガキでお知らせがきます。したがって、行き違いになっているだけなので安心してください。
学生納付特例が承認された場合は納付書を破棄してください。免除申請の結果が届くまでは保険料は納付せずに納付書を保管しておいてください。
申請書の書き方は難しくないので安心してください。アルバイトなどをしており、「前年所得がわからない」という方は上記を参考に前年所得を計算してみましょう。
※多くの学生の方は「前年所得128万円以下」または「なし」に該当します。
「学生の区分」についてはほとんどの学生があてはまります。
※大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校(専門学校など)、一部の海外大学の日本分校などに在学する方。夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれます。
※参照:日本年金機構国民年金保険料の学生納付特例制度
では次に、年収103万の注意点について下記で説明していきます。アルバイトをしている学生は特に気をつけましょう。
アルバイトなどをしている20歳以上の学生さんは、申請すれば国民年金の支払いを先送りすることができます。
ただし、学生の方は103万円にも注意しなければいけないことを覚えておきましょう。
年金の支払いを先送りするほかにも、アルバイトをしている学生は1年間の収入に気をつけなければいけません。1年間の収入が103万円を超えると、扶養親族の対象から外れてしまいます。
親の年収にもよりますが、扶養から外れると約5万円~17万円税金が増えてしまいます。くわしくは下記で説明しているのでアルバイトをしている学生は気をつけましょう。
親族の年収 | 親族が支払う税金 |
---|---|
年収250~430万円のとき | 親族が支払う税金は約77,000円高くなります。 ※所得税は31,500円、住民税は45,000円 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
年収540~640万円のとき | 親族が支払う税金は約110,000円高くなります。 ※所得税は63,000円、住民税は45,000円 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
年収740~850万円のとき | 親族が支払う税金は約170,000円高くなります。 ※所得税は126,000円、住民税は45,000円 ※所得税と住民税はこちらで計算 |
※扶養控除の対象となる家族1人が対象外になった場合の年間額。
※個人事業主はこちらのシミュレーションで計算できます。
では次に、学生納付特例を申請したときのデメリットについて下記で説明していきます。申請するつもりの方は知っておきましょう。
たとえば学生納付特例を申請して、2年間(24ヶ月ぶん)国民年金保険料の支払いを先送りし、先送りしたぶんをあとから支払う「追納」をしなかった場合、老後にもらう国民年金(老齢基礎年金)は年間約4万円減額※されます。
ただし、追納を行えば老後にもらう国民年金は減額はされません。
※学生納付特例した期間以外(20歳から60歳までのうち38年間)はすべて保険料を支払った場合。ちなみに、40年間すべて保険料を支払った場合には老後にもらえる国民年金(老齢基礎年金)は年間約81万円となります。厚生年金に加入していた期間があれば受けとる年金額はそのぶん増えます。
学生納付特例を受けた期間については、10年以内であれば保険料をさかのぼって納める追納ができます※。
※たとえば2019年4月ぶんは2029年4月末まで。
※10年を過ぎたぶんはあとから支払うことが出来ません。この場合、上記で説明するように老後の年金が減ってしまいます。
将来受け取る年金額を減らしたくない人は働き始めてから追納をしましょう。
「お金がなくて払えない…」からといって、学生納付特例や免除等の申請をしないで、国民年金の保険料を滞納して「未納」にしておくと「老後の年金」も「障害年金」も「遺族年金」も受け取れません。
※老後の年金を受け取るには10年以上の受給資格期間が必要なため。
※障害年金と遺族年金については保険料納付済期間(免除期間を含む)が3分の2以上必要なため。
※出典:日本年金機構老齢年金
なので、もし保険料を支払うのが経済的にきびしいときは免除制度をかならず利用しましょう。未納にしているリスクについてくわしくは下記の記事で説明しています。
※免除等をした期間については受給資格期間に反映されるので、年金を受け取る資格が得られます。
では次に、自分の年金を親が支払った場合について下記で説明していきます。親にとっては節税のメリットもあります。
学生納付特例制度を利用せず、20歳になった子供の年金保険料を親が代わりに支払うこともできます。
かわりに保険料を支払った場合、社会保険料控除を利用することができます。
※社会保険料を控除を利用すれば税金が安くなるので、かわりに保険料を支払ったときは必ず申請しましょう。
申請をするには年末調整または確定申告のときに必要事項に記入するのを忘れないようにしましょう。
※確定申告で申請する方法はこちらの例で説明しています。
※確定申告のやり方はこちらでパターン別に解説しています。
学生納付特例は国民年金保険料を先送りしてくれる制度であり、免除されているわけではないことを覚えておきましょう。現在お金が無くて保険料が支払えない方はかならず申請しましょう。
※先送りしたぶんはあとから支払うことができます(10年以内なら追納できる)。